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ブリーチ無しでラベンダーグレージュは無理!?「茶色って〇〇色あんねん」【ヘアカラーとブラウンの関係】

操作イトウです。
今回は、髪の毛と茶色にまつわるお話。

今年の秋冬のファッショントレンドとしても特に注目度の高い色、ブラウン。
僕自身、美容師として「茶色」に触れる場面が多いので、一般の方よりも識別できる自負があります。目下、テレビ界を無双しているアンミカさんの名言を借りつつ、茶色は果たして何色あるのでしょうか。

「200色あんねん」が言いたかっただけ↑

◾️「茶色って、72色あんねん」

今回初めて調べましたが、あるwebサイトでは72色ある、とのこと。そもそも色は「無限にある」が正解だと思いますが、ここでの「〇〇色ある」は、おそらく「名前が付いている色」といった解釈といったところでしょうか。

コチラのwebサイトが茶色の一覧を見やすかったので、一度目を通してみると面白いのでオススメです。中には「コレも茶色なの?」と感じてしまう色もあります。

▼「茶色」の発色は派手じゃなくて柔らかい

上記のwebサイトからもわかりやすいですが、「茶色」は柔らかい印象が強い色です。全体に「中間色」と呼ばれるような曖昧なカラーリングになりやすく、パキッとした色味にならないのが特徴です。

茶色についての定義も引用すると↓

茶色は赤や橙といった暖色に黒が加わり暗くなった色です。赤や橙との境界が人によって様々で、幅広い範囲で捉えられています。木や土、大地といった自然を感じさせる茶色は温もりや居心地の良さといった安心感があります。空間の中に馴染み目立たず調和します。

下記webサイトより引用

つまり茶色は、赤と橙(オレンジ)がベースで白黒の明度がついた色のことです。
同じく髪色でも使われる「ベージュ」ですが、色味表には茶色の一種とされていて、「黄色味のある明るい茶色」といったところです。

◾️流行りのラベンダーグレージュ、ブリーチ無しは無理!?

さて、最近のヘアカラーのトレンドとして「ラベンダーグレージュ」の名称で一気に広まっているのが、暗めの青紫。韓国風のトレンドもあり、「黒染めはしたくないけど、暗めでカワイイ色にしたい!」といった意向でやりたい方が急増しています。

ですがこの「青紫」、実は髪の毛に発色させるのがとても難しい色です。
よく美容師さんから「ブリーチしないと、この色はできない」と言われることがあるかと思いますが、ラベンダーグレージュは特に「茶髪」との相性が悪く、「ブリーチ無し」では再現がなかなかできないのです。

コチラは拾い画です。④なら辛うじてできるかも↑

「ブリーチ無しではできない」は以前にもお話しています↓

▼ラベンダーグレージュは、茶髪と補色の関係になってしまう

ラベンダーグレージュがブリーチ無しでできない理由は、「色の相性」に関係しています。
色彩学には「補色」という言葉があります。これは、色相環(下の図のこと)の中で逆サイドに当たる色が「お互いの特徴を打ち消し合う」法則のことを指します。

皆さんも子供の頃、図工の時間に絵の具を混ぜ合わせたら「ドブ色」になったことがあるのではないでしょうか。お互いの色が一瞬で使い物にならなくなる、あれが補色の関係です。

東アジア人の髪色は「赤、オレンジ、黄色」を多く含んでいます。そのため、ヘアカラーした髪色が抜けてしまった後の髪色も、赤やオレンジの強い茶髪になる方が多いです。

この「東アジア人の茶髪」とは反対に位置する色が、アッシュやグレージュに見せる「青系」、そしてラベンダーをイメージされる「青紫系」の色です。そのため、ヘアカラーでこの色にしたくてもお互いの特徴を打ち消し合ってしまい、キレイに発色しないのです。

▼茶色は、青と青紫の色が見えにくい

下図は「茶髪」の色に「青、青紫」を載せたイメージですが、ご覧の通り、発色が弱い色味になります。「赤、オレンジ、黄色」といった茶色のベースとなる全ての構成色は、「青、青紫」の発色の邪魔をしてしまうからです。

これは、冒頭の茶色の色味表に「紫っぽい茶色」が存在しないことからも、茶色の中で青、青紫が発色しにくいことを表しています。

このことから、ヘアカラーで「ラベンダーグレージュ」を作る際にはブリーチされた髪に色を載せるのが定石です。
ブリーチされた「黄色」も青紫との相性は悪いのですが、茶髪の「赤、オレンジ」は取り除かれていて、更に茶色いキャンパスに載せるよりも発色が良くなります。

つまりブリーチした髪なら、ラベンダーグレージュの再現性が格段に向上するのです。

◾️理想と現実は、まだ遠い

美容界には、「やりたい理想」に反して「不都合な現実」が多くあります。それをお客様が判断できることは難しいですから、「なんでできないの?」「あの人はインスタでやってた」となりがち。
僕らも期待に応えたいのだけれど、できないものはできません。
とはいえ薬剤は日々進化してますから、簡単に再現できる日も近いかもしれませんね。

ではまた。

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