腕がポコっと発達する? 美容師のハサミ②
操作イトウです。
今回は美容師のハサミについて、後編。美容師はこんなことと日々戦っている、ハサミにまつわる「あるある」です。
美容師の腕と腱鞘炎
前回も説明しましたが、美容師は親指だけを動かしてハサミを開閉しています。作業は非常に細かく、1日に何回やっているかわからないほど、親指を連打しています。
すると、親指の筋が発達します。美容師の腕は利き手の親指の筋に当たる部分がぽこっと膨らんでいます。美容師さんは華奢な人が多いので、なんだか変なバランスになります。
そして仕事において死活問題になるのが、腱鞘炎。仕事上、親指を動かさないわけにはいかず、一生の付き合いになります。悪化して力を入れられなくなる方もいると聞きます。
僕も、一度良くない状況になったので、手持ち無沙汰の時はいつもこの辺をマッサージしてます。
弘法にも筆の誤り、というか弘法になるまでも、なってからも
いわずもがなよく切れるハサミ。それ故髪の毛を挟む左手の人差し指と中指によく切り傷を負います。
修行期間から指が切れることは日常茶飯事なため、軽い傷なら慣れてしまいます。また、買ったばかりの新しいハサミだと感覚が違い、慣れるまでよく甘噛みしてます。
指を切ってしまう時は基本的にお客様と相対しているため、美容師さんはリアクションをしません。「痛っ!!」とか絶対言いません。痛い顔もしません。
お客様に悟られないように、しれっとバックルームに入っていきます。仕事中は集中してアドレナリン全開だからか、指が軽く切れていることに気付かないこともあります。
酷い時には肉をスパーン!!といってしまうことも。美容師さんによっては、骨が見えるほど切ってしまう経験もあるそうです。
ハサミ落とすと背筋が凍る
一丁に○万〜△十万円もかかっている美容師のハサミ。ハサミの刃先は異常に繊細で、例えば床に落とすと、すぐ刃こぼれやズレが生じます。なので、スタッフの誰かがカシャン!とハサミを落とすと、周りにいる美容師がハッとします。
落とした本人も「やっちまったー」と青ざめた顔で刃先を確認します。研ぎで治ればいいのですが、歯がこぼれてしまうと、場合によってはお陀仏です。
もちろん新調しなければいけないし、新しいハサミが届くまでには1〜2週間はかかるので、よく使う、お気に入りのハサミを使えないとその後の仕事にも影響が出ます。
しばらく脳内は銭勘定で一杯になってしまう、落としたスマホが壊れた時のように気が気でなくなります。
と、美容師にとっては「切っても切れない」ハサミ事情でした。
ではまた。