「イルミナカラーって、そんなにすごいの?」ホットペッパーでお店の良し悪しは見分けられる?【美容室と商材①】
操作イトウです。
今回は、お店の良し悪しと美容室の商材にまつわるお話。
美容師として日々お客様と向き合っていると、いわゆる「美容室ジプシー」に悩む方はとても多いと感じます。
熱心に上質な美容室や美容師を探している方であれば、ホットペッパーや公式HP、SNSをたくさん検索しているのではないでしょうか。
そして昨今、美容室の扱う「材料の名前」を冠した宣伝やSNSの投稿が多くなっています。
それって「その材料」を使うことで、ステキなヘアスタイルになれるってこと?
ってことは、「その材料」を使ってれば良い美容室で、使ってないと悪い美容室ってこと?
◾️お店の良し悪しは、ホットペッパーでは判断できない
まず前提として、ホットペッパーや公式HPを見比べても、美容室の良し悪しはほとんど判断できません。そもそも、「ヘアスタイルの写真」や「メニュー」からどうやって良し悪しを見比べればイイのかも、判然としません。
「口コミ」は唯一の判断基準とも言えますが、それも「個人の感想」なので明確な価値基準とは言い切れない部分があります。
それ故、ホットペッパーなどでいい美容室を探している方の中には、
「そもそも情報が少な過ぎる!」
「全てのメニューに『材料の名前』を明記してくれれば、もっと見比べられるのでは?」
と考えている方もいるかもしれません。
▼「材料の名前」を明記してくれれば、もっと見比べられるのでは??
ですが、メニューに「人気の材料の名前」を冠する事はあっても、商材について美容室側から明かすことはほとんどありません。
そもそも商材は、一般のお客様には識別できないからです。
美容室はそれぞれの価値基準で一つ一つの商材を選定していますし、その商材を「どう使うのか」という美容室の技量によっても変わってしまいます。
そして「人気の材料」には特異性がありますが、その他にはあまり差異がありません。
このことから、メニューに記載される「人気の材料の名前」も美容室の判断基準になるとは言えず、「この商材を使うから良い美容室/悪い美容室」とは言い切れないのです。
◾️他所の美容室がどんな薬剤を使っているかは、美容師でもわからない
ホットペッパーや公式HPで良し悪しを判断できないのは、実は、美容師も一緒です。美容師のプロ目線でも、他所の美容室がどんな薬剤を使っているかはわかりません。
例えば、美容師同士なら「何の薬を使ってますか?」と聞くことはありますが、それはお互いの情報交換のためで、美容室の良し悪しを測っているわけではありません。
▼バックルームに入れば、だいたい分かる
ほとんどの美容室は、商材は仕切りの向こうの見えない場所にあります。そこは「バックルーム」と呼んだり、「バックヤード」と呼びます。
この、扉からチラッと見える程度のバックルームは、スタッフの控え室と倉庫を兼ねています。
美容師なら、バックルームに積まれている薬剤のラインナップを見回して美容室の意向を鑑みることができます。
とはいえ、美容室向けに商材を作る製薬会社は大小様々ありますから、各メーカーの数多ある商材を全てを知っている美容師も少ないです。
◾️「イルミナカラー」ってそんなにいいの?高価格の理由は?
とはいえ、一般の方にも有名な商材はあります。例えば、「イルミナカラー」や「アディクシーカラー」はご存知なのではないでしょうか。
「イルミナカラー」「アディクシーカラー」はカラーの発色の良さ、手触りの良さや艶感が改良されている、高価格帯の商材です。
一般の方にも違いが伝わるほど満足度が高く、美容師やインフルエンサーを中心にSNSによって伝播し、一般の方にも認知されるようになりました。
▼お客様にも「クオリティの違い」が伝わり、ブランディング成功
イルミナカラーなどが商材として上質なのはもちろんですが、メーカー側は高級ブランドラインとしての付加価値をつけています。
販売開始から「高価格帯での提供」「別料金での提供」「メニュー名に『イルミナカラー』と冠すること」が推奨され、明確なブランディングがされていました。
それによってお客様にもクオリティの違いが伝わり、名前の広まりと共に今やたくさんの美容室で導入されています。
そのため業界内でも、製薬メーカー側からのプロモーションによって高級ラインが浸透した好例です。今やカラー剤のみならず、トリートメントやサロン専売品などもブランド化した商材が増えています。
◾️美容室は、「材料費」をずっと銭勘定している
「イルミナカラー」の薬剤は、他社のモノより高額です。ですが、美容室からしてもクオリティだけでなく、プラス料金でのメニュー展開で単価アップが見込めるため、多くの美容室が利用しています。
とはいえ、美容室は全ての商材にお金を掛けていては首が回らなくなってしまいます。その場合、よほどの「高級志向」を打ち出していないと、一般的な価格では運営できなくなってしまいます。
そのため美容室では「安い薬剤で材料費を削る」のか、「高い薬剤で顧客満足度をあげる」のかを、常に天秤にかけているのです。
▼薬剤は、安価であるほどヘアケアできない
美容室の主要な「材料費」は、カラーやパーマなどの薬剤です。
薬剤の価格やグレードはピンキリで、高価であるほど美容師やお客様のニーズに応える、特殊な用途のものになります。
そして薬剤は、安価であるほど“ヘアケア”への配慮が薄れる傾向にあります。
理由は、「高価な薬剤」は“使用感の良さ”を重視して開発されるのに対し、「安価な薬剤」は無駄を省いて安く作られるからです。
薬剤は髪にダメージを伴うことがほとんどなので、当然そのダメージが軽減されるものがイイ。
ですが、ヘアケアに配慮した原料ほど高価だったり、ヘアケアの成分を添加するプラスの費用がかかることで、「高価な薬剤」は必然的に費用がかかるのです。
▼「材料費」は“ちりつも”で膨らんでいく…汗
そして薬剤は、2種類を調合して使うことも多いため、作った薬剤が余ってしまうこともよくあります。
安易に使っていると、ロスも多くなる。そんな材料費の“ちりつも”はバカになりません。
そしてほとんどの美容室は、ドライヤー、コテ、アイロンなどの新しい器材の購入やその「修理代」も材料費に含んでいます。扱いやすいモノは酷使するし、雑に使えば故障もしやすいため、「修理代」はなにかと積もっていきます。
また専門的な器材は高額になりがちですが、加えてこちらもピンキリ。
高額なら作業効率アップやヘアケアに繋がる一方で、安物ならそれなり、と両天秤なのです。
◾️商材の話は続く
話が脱線しているので、②に続きます。
次回は、よりシビアな美容室のやりくりについてお話します。
ではまた。
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