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お気に入りの美容師さんが辞めた。
操作イトウです。
※追記 この投稿をベースに、R3.5.2、文春オンラインに寄稿させていただきました。こちらもご参照ください
ずっとお世話になっている美容師さんから突然、「辞めることになりました」の一言。思い出に残っている美容師さんがいる方も多いのではないでしょうか。
店内で引き継いでもらった美容師さんとはどこか噛み合わず、結局また美容室を探し直すことになったり。お客様にも美容室にも、避けては通れないあるあるですが、美容師が辞めるのには様々な理由があります。「家庭の事情」というと美容師だけの話ではないので、それは抜きにして。
1.拠点を変える
美容師は土着的なお仕事なので、拠点を変えることは大きな決断です。地域を離れることは、今まで築いた顧客を手放すことになります。お客様にとって「通いやすさ」は美容室を選ぶ条件として比重が大きいため、最寄り駅が隣駅に変わる程の異動でも、大きな影響があります。
例えば大型店に勤める美容師は、店舗間の異動も多いです。遠く離れることは稀ですが、お客様にとって通いにくくなってしまうことも往々にしてあります。
また「いずれは地元で」という目標から、地元に帰ることも多いです。「都会でやっていました」という経歴は看板になりやすく、培ったファッションへの感度や技術のレベルは大きな武器になります。
海外思考を持った美容師が、国外でチャレンジする事も多いです。ロンドンやニューヨークのようなファッションの最先端で活動する方や、文化の違う理想の地で憧れの海外ライフを実現したい、と移住を視野に入れる方もいます。
こんなところや↓
あんなところ↓
日本人の美容師には箔がついていて、技術的にレベルが高いことも大きなメリットです。東洋人仕様に日本で飛躍的に進化した技術は、先人のカリスマ美容師たちによって海を渡り、世界的な評価を得ています。
東洋人の髪質は難しいため、西洋人の美容師には東洋人を上手に切ることができません。現地の美容室で絵に描いたような失敗をされることもザラにあるため、日本人の美容師は特に現地在住の東洋人に重宝されます。
ですがこのコロナ禍もあり、今からトライするにはハードルが高くなってしまっているようです。
2.働き方を変える
多くは従業員ではなく、フリーランスになる形です。「面貸し」と「業務委託」のスタイルが定着したことで、子育てや副業など、働き方の比重を変えることができます。ただ拠点とする美容室が変わるため、お客様からすると通いにくくなることも多いです。
詳しくはこちらを↓
3.美容師を辞める
若いうちに辞める場合は、体力面や精神面でのリタイアが多いのですが、長く続けていた美容師が辞めるのには、経済的な理由もあります。
体力面、精神面はこちらを↓
多くの美容師は歩合制でお給料を得ています。お客様に指名された売上(業界では「指名売上」と呼びます)によって歩合は増えていきます。
美容師にとっての「出世」は、顧客を多く抱え、売上をあげることです。「指名売上」はその美容師の人気度の指標となりますが、反対に結果を残せない美容師は、収入が満足に増えていきません。
お客様が「またこの美容師さんに切って欲しい」と求める要素には、『技術』だけでなく、『キャラクター(人柄)』もあります。
美容師として長く続けるうちに自分に限界を感じたり、後輩に先を越されたり、家族を養っていく上での経済的な不安など、能力的には円熟していても、壁にぶつかりやすいと言えます。
また美容界を離れるわけではなく、美容業界の会社等への転職をする形もあります。
例えば美容室が取引する商材の仲介業者(ディーラー)には、元美容師が多く所属しています。現場目線の話が通じやすく、商材の細かいニュアンスのやりとりがしやすい元美容師は重宝されます。
4.現役を引退する
体力勝負と言われる美容師。ベテランになり年齢を重ねるうちに、現場での仕事は負担が大きくなります。指名されていたお客様を信頼できる後輩に託して、現場に立つ時間を減らし、会社の運営サイドに回ることは珍しくありません。
とはいえ、お客様に関わる喜びは不変です。美容師は職人気質が多いため、完全な引退ではなく、お付き合いの長い特別なお客様だけを対応する形が多いです。
「辞める」はドロップアウトではなく、ステップアップ
30代までに退職することが多い美容師。
それ故、「美容師を辞める」は、ドロップアウトよりもステップアップの意味合いが強いです。美容師としての経験値は、他の業種では中々得られない物だと僕は思っています。それがどんな形であれ、その人の次の一歩がプラスになればいいと思います。
ではまた。