![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/47604867/rectangle_large_type_2_bf1e978d91743b5a88c48b8b1b04deab.jpeg?width=1200)
お昼食べるのがカッコ悪い?美容師の古すぎる習慣
操作イトウです。
今回は美容業界に数多ある、悪しき慣習の一つ。
美容師が仕事中にお昼ごはんを食べないことについてです。
他店の美容師さんや、職場に新たに中途採用された方と相対すと、未だに業界では食べないことが当たり前なのだ、と実感することがあります。
美容業界は、未だモーレツを引きずっている様子が伺えます。
ですが全ての美容室に当てはまることではありません。従業員用にご飯や味噌汁を炊飯する会社もあったり、様々な形があります。
古い慣習が残り続けている美容室は多く、昭和の価値観を美化し過ぎたままの企業に押し潰され、美容師が辞めていってしまうのです。
一般的な「お昼休み」のない美容師
まず美容師には、1時間の「お昼休み」の概念がありません。
病院やお食事処のような中休みの時間もないので、一斉に休み時間に入ることはなく、営業の手の空いたスタッフから順番に入ります。
休憩時間は20〜30分程度。
それは急なお客様の来店に控えるため、という名目です。なので、外食を禁止するところも多いです(というか、行って帰ってくる時間がない)。
もちろん、労働基準法はグレーゾーンです。取り締まったら、日本中の8割の美容室が閉店しそう↓
休憩室が狭すぎる問題
そもそも休憩を軽視しているためか、ほとんどの美容室のバックルーム、バックヤードは異常に狭いです。
狭いテナントの中でお洒落な雰囲気の内装を演出するため、簡素で実務的なバックルームは、薬剤やスタッフの荷物でギューギュー詰め。
それは「休憩室」としてではなく、「倉庫」としての空間です。一般的な休憩室のように更衣室やスタッフに鍵付きのロッカーが用意されることも少ないです。
こういうのは少ない↓
僕も都内の美容室のバックルームを沢山見てきましたが、そのほとんどが座るのがやっとのスペースです。それはお世辞にも休憩のための部屋とは言い難いもの。「前の店では食べるスペースがなかったから、みんな洗濯機を机にしてお昼を食べていた」という話も聞いたことがあります。
外で食べれない美容師は、手作り弁当やコンビニ弁当を持ち込みます。ですがバックルームは薄い壁で軽く仕切られているだけなので、ご飯を温めると匂いが店中に充満してしまうこともしばしば。
よってお昼ご飯温めて食べるの禁止、ましてカップラーメン禁止など、やはり休憩を軽視したルールが作られがちです。
なぜカッコ悪いになったか
美容師は人気になると、1日の予約の枠がいっぱいになります。どうしても今日やりたかったお客様を、なくなくお断りする場面も多くなります。
なので人気の美容師は営業時間の無駄を省いて、できるだけ予約してくださるお客様に対応したい、と考えます。ですが『お昼休みは営業の手の空いたスタッフから順番に入る』仕事の優先順位では、お昼休みに入ることができなくなります。
営業中は、隙間を縫って簡単に食べられるものを口にするようになり、「休憩は取らない」が習慣化し、当たり前の日常に。
すると、まだ時間に余裕のある駆け出しの若手も、そんな売れっ子の先輩の背中を見て真似するようになり、それをまた自分の後輩に伝授します。
『美容師という仕事はこういうもの』『一流は食べない』といった歪んだ美学は、「食べるのカッコ悪い」ものとして脈々と受け継がれてきたのです。
昼飯抜きで、いいわけがない
かつての僕も、食べないことが当たり前の生活を経験しています。『「食べない」ことでむしろ仕事への集中力が増す』という意見もあり、体感として共感しています。お腹いっぱいだと、どうしても眠くなってしまう。
ですが、食べないで頭が回らないのは本末転倒です。「お昼休み」は、お昼ご飯を食べて午後のパフォーマンスを上げるためだけでなく、健康管理のためでもあります。
会社側が「食べる」ことを推奨しないのであれば、それは立派なブラック企業です。『風邪をひいても自分の責任』と言われても納得してしまうのは、会社が間違っている事にも気づかないほど、当たり前の習慣になっているからです。
多くの美容師にとって、お昼ご飯は日が暮れた営業後になります。疲れ切って、夜遅くに暴食してしまうこともあったり、ただでさえ低収入な美容師にとって、それはメンタルヘルスにも影響します。
ファッションや見てくれには敏感な美容師ですが、日々を専門的で閉鎖的な空間で過ごすうちに、既に古くなってしまったマインドを美化したり、過去の成功体験に固執してしまいがちです。
この記事が「それはもう辞めようよ」と言えるきっかけになればと思います。
ではまた。