お子様カットは、慣れた美容師さんじゃないと意外と大変【キッズカット②】
操作イトウです。
今回は、お子さんのカットにまつわるお話の続き、美容師目線でのキッズカットについてです。
「子供のカットは大変?」「上手な美容師さんはいる?」「泣き出しちゃうと迷惑?」
沢山のお子さんを切ってきた僕が、お答えします。
【上手な美容師さん①】お子さんに慣れているか
美容師関係なく、子どもに慣れているかどうかは大事な要素です。
慣れている方ならかなり安心できますが、予測のつかない行動をする子どもにひるんでしまう美容師さんもいます。
特に30代以上の美容師さんにはお子さんをお持ちの方も多く、またここ数年働き方の自由度が高まったことで、以前よりママさん美容師も増えてきています。
■子どもはカット中、こんなことをする
だいたい小1〜2年生ぐらいまでのお子さんを切る時には、予想しない動きに注意する必要があります。
美容師のハサミの切れ味はとてもよく、手元が狂うと自分の手を深く切ってしまうこともあります。そんなハサミが誤って子供に触れてしまったら、大惨事です。
特に耳周りは、頭の部位の中でも突起しているので注意深くなります。髪を短くしたい男の子の場合、生え際が近くハサミを近づけなくてはならない場面が増えるため、ケガする可能性が高くなります。
《予想しない動き①》あっちこっち振り向く、座ったままジャンプする
美容室には人も多く、見慣れない人や見たことない器具がいっぱい。興味が散漫して、あっちこっちと振り向いてしまうことが多くなります。
幼いうちは、鏡の方を見てくれている時間が限られます。お子さんが振り向くとハサミをすぐに離して、事故を防ぐような動作は多くなります。
また小3ぐらいまでの子は特に、高さを調整するための子供用の椅子やクッションに座ってもらう事になります。
すると、カットしている最中でも座りながらジャンプをすることがよくあります。座りにくいのか、大人用の椅子がフィットしないからか、座り直すようにピョンっと突然動いたりします。
また、観ているアニメなどに興奮して全身で喜ぶときも、ちょっと注意してます。
《予想しない動き②》首がかゆい、急に腕を上げる
男の子の場合、短く切ることが多くなります。すると、切った細かい毛が首について、かゆいかゆいとなってしまいやすいです。
かゆくなると、大人のように我慢はできません。自分で取ろうとしていっぱい動くので、振り上げた腕で美容師さんの手元を邪魔してしまったり、逆に毛がお洋服の中に入り込んでしまったりすることも。
その際には、作業を中断する事も多くなります。
そしてバリカンを使う時は特に、くすぐったくて動いてしまったり、バリカンの音が怖くてイタイイタイと思ってしまう子も沢山います。
【上手な美容師さん②】美容師側もキッズカットは経験値がいる
キッズカットの経験値がある方が上手に切れます。
それは、美容師にとってキッズカットは、技術的にも大人のカットとは違う難しさがあるからです。
▼「洗いざらし」のヘアスタイルが求められる
美容師は大人を相手にする場合、今回のカットの提案だけでなく、具体的なスタイリングの仕方もアドバイスできます。
スタイリング剤やドライヤー、コテ、アイロンなどを駆使することで、「こうやると上手くいきます」という難易度高めのヘアスタイルを提案することも可能です。
これによってお客様の生えグセを修正できたり、ヘアスタイルの持ちが良くすることができます。ちょっとしたポイントをお客様に実践してもらうことで、結果としてヘアスタイルの完成度が上がるので、今回のカットの評価も高くなります。
ですが子供の場合、基本「洗いざらし」のヘアスタイルであることが求められます。「洗いざらし」だと髪の毛は生えグセが反映されやすく、他の方法でカバーができないため、修正もしにくい。
そんな「何もしなくてもカッコいい、可愛い」スタイルは、美容師の技術力が反映されやすいのです。
▼大人と子供は髪質が違う
多くの子供は、毛が細く、柔らかく、毛量が少ないです。また東洋人の子供の場合、ウェーブが弱めな子が多く、全体的にストンと落ちる感じになりやすい。
「毛量が少なく、ウェーブが弱い」髪質を切ると、ハサミで切った線がそのまま出やすくなります。
子供のヘアスタイルは「何もしなくてもカッコいい」スタイルが求められるので、マッシュルームボブのようにピシッと切った線を出す目的でなければ、美容師として避けたいことです。
▼中断する時間も考慮する
キッズカットの時間は、子どもの頭のサイズが小さいので、作業の時間自体は短くなります。ですが幼い子ほどご機嫌次第で、中断せざるを得ない状況も多くなります。
そのため、お子さんが飽きてしまわないうちに手早く終わらせる方がいいのです。
ですが、キッズカットに不慣れだと時間がかかってしまいます。
ぐずってしまった時の対応力など、時間の配分なども含めて時間的余裕を持っていないと、次のお客様の予約時間に迫られてしまう事もあります。
▼髪が絡まりやすい、来店時に絡まっている
子供の毛は、髪が長いほど絡まりやすくなります。特に後頭部が絡まりやすく、ほどいてからでないとカットが始められません。
そのためロングヘアにしている子の場合、カットを始める前に髪をほどくための時間がかかってしまいます。引っ張って痛い思いをさせたくないし、かといって美容師は時間をかけられないので、来店時にはクシを通しておくことを推奨します。
■美容師は、お子さんがイヤイヤの中切ることもある
美容師として子供に接していると、「なりたいヘアスタイル」が親の意向と食い違うことがままあります。カットの頻度を減らそうと必要以上に短めを推す親御さんに対して、切り過ぎたヘアスタイルを明らかにイヤそうにしているお子さん。
親御さんの意向をゴリ押しされると、美容師は断れません。
美容師としては自分が手を下すことになるので、ふてくされたり、泣きっ面になっているお子さんを見るのは、正直心苦しいです。
いつも不本意なヘアスタイルになることから、髪を切ることがイヤになってしまう子供たちもいます。
▽トラウマになる子もいる
女の子たちはどの世代も「お洒落になる」「可愛くなる」ことに素直に反応しますが、ある時期から男の子たちには「カッコつけるのは、カッコ悪い」のムードが生まれるようになります。
「カッコよくなって嬉しい」ことに素直になれないムードは、だいたい小3ぐらいから訪れます。カッコよくなりたいけど、やり過ぎると“ナルシスト”の烙印を押されてしまう。世代が変わっても、仲間内のそういった空気感はやっぱりあるようです。
正直、お子さんの「なりたいヘアスタイル」を理解するのは難しいです。言葉が拙いのは仕方がないことですが、ニュアンスを掴むのに時間がかかることもあります。
ですがちゃんと聞いてあげると、その子の「こうしたい」「これはイヤ」はちゃんと伝わるし、僕はなるべく、親御さんよりお子さんの意見を尊重しています。
▽【実体験】僕の少年時代の美意識とヘアスタイル
実は、僕もそうでした。「伸びたから切ってきなさい」と母親に言われる小学生の僕は、近所の床屋さんで切ってもらっても、いつも思い通りにいかないヘアスタイルがイヤでした。
既に一人で床屋に行くようになっていた小5の僕は、一度、「こうしたい」と床屋のおばちゃんに細かくオーダーしたことがあります。するとおばちゃんは、母の確認を取るために自宅にTEL…。お年頃で恥ずかしい想いをしたことを、今でも覚えています。
また別の1000円カットの床屋さんは雑すぎて、毎回耳を軽く切られる恐怖を味わっていたし(僕だけでなく兄弟もみんな耳を切られていた)。
「今の伸びた髪の方がカッコいいのに」と、既に美意識の芽生えていた僕には、ある種トラウマのようになっていました。そんなこともあってか、中学生になってからはいつも自分で切っていました。
■カッコよく、可愛くしてもらえるのはうらやましい
現代のお子さんたちが美容室でカッコよく、可愛くしてもらえるのを、僕は本当にうらやましいと思います。
そして僕にとって、お子さんをカットさせてもらえることはなにより微笑ましく、癒されています。
笑顔で帰ってもらえるのであれば、美容師として本望です。
ではまた。
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