２０２０年の自分探し

　８０年代、自分探しが流行った。みんな自分を探すために、旅行(ときには海外旅行）に行ったりした。旅行に行って見つけられる自分って、何？　といまとなっては思うが、まあ、みんなそうだった。自分探しに、本を読む人なんてあまりいなかった(ような気がする)。
　９０年代、実は、自分なんて、ないのではないか。みんな、そのことに気がついた。
　自分なんて、もともとなかったのだ。だから見つかるわけがない、と。

　問題は解決した。

　あれから３０年が流れた。

　２０２０年。いまは、どうなっているのだろうか。
　自分が、あることになっているのか。やはりないのか。

　ネットで「自分らしく生きる」という言葉を見かけるたびに思う。

　ちなみに、私の考え方は、「昨日の自分」「今日の自分」「明日の自分」は、みんな違う、というものである。
　「昨日の自分」が「今日の自分」を支持し、「明日の自分」を応援する気持になっていればいいなあ、と思っている。