別れの季節は三月だけとは限らない
3月18日
日曜日なので、ゆっくりと起床。
午前中、パソコンに向かって、noteの原稿を書く。
お知らせである。
3月23日発売の新刊、「アラフォー女子の厄災」(櫻門書房)に、「別れの季節は三月だけとは限らない」という短編が収録されている。これはすでにnote発表された作品だが、今回、収録にあたり、細部にわたって、時間をかけて、加筆修正を行った。
ので、noteに発表済の作品も、加筆修正後の作品に差し替えた。
よろしくお願いします。
ちなみに、書き出しはこんなふうです。
同人誌の漫画家というのは、確実に肩身が狭い。サークル間ならともかく、世間的にはまったく相手にされないからである。作家として認識すらされていないかもしれない。
コミケで頒布した、薄い本を見せても、態度が変わることはない。コミケでは、ちっとは名前が知れた人気サークルの作家であっても、それは、同様である。ぺらぺらの薄い本なんて、世間にとっては、本ですらないのだ。紙の束。いやいや、エロ描写を含んでいれば、それはもう「青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるとされる」本だと決めつけられ、廃棄される可能性だってなくはないのだ。
同人誌の話をしていると、尋ねられることがある。
あなたは、いまおいくつ? いつまで、こんな(しょうもない)漫画を描いているの?
そのひとたちにむかって、けっこうこれ、人気なんです、人気作なんです、と説明しても無駄である。
世間の反応は、紙のように冷たい。
あたたかいのは、ファンだけ。面白かったです、というファンの一言を心の糧に、私は漫画を描いているのだ。
〇月〇日
アニメ「恋は雨上りのように」を観ている。
凛とした女子高生が、ファミレスの店長、バツイチで、子供もいる冴えない 中年男に恋をする話である。
人気漫画なので、数冊、すでにコミックスを読んでいた。
クールの後半、冴えない中年男が、大学時代小説の同人誌に参加して、小説を書いていた、という設定が出てくる。
作家になりたかったが、夢に挫折した、という人物なのである。くたびれた感じも、いい意味で、哀愁が漂っている。
人生にやさしい。ひとにやさしい。
青空市の古本屋のおやじから「学生時代は、本の虫だった。このひとほど、本が好きなお客さんはいなかった」と、主人公の女子高生は、中年男について聞かされる。
中年男のアパートの本棚の描写が出てくるが、そのわりには、雑だな、と思う。大判の百科事典がただ並んでいる感じなのである。