トランジスタラジオ

トランジスタ・ラジオ

 Woo 授業をさぼって Yeah 陽のあたる場所に いたんだよ
 寝ころんでたのさ
 屋上で タバコのけむり とてもあおくて

 内ポケットにいつも Oh トランジスタ・ラジオ
 彼女 教科書ひろげてる時
 ホットなナンバー 空に溶けてった

 Ah こんな気持 Ah
 うまく言えたことが ない

 以上は、RCサクセションの「トランジスタ・ラジオ」の歌詞である。 
 トランジスタ・ラジオ、なんて、いまの若者は知らないだろう。だいたい防災時の必要グッズ程度にしか認識されていない。

 と書いたものの、実のところ、私も、トランジスタ・ラジオでヒット曲を聴いたことはない。私たちの時代は、ラジカセだった。と書いてみても、いまの若者には、それだって、ちんぷんかんぷんだろう。
 ラジカセって何? と。

 「トランジスタ・ラジオ」は、1960年代の青春を思い出させる。

 私は、高校時代、授業をさぼったこともないし、屋上で煙草を吸ったこともない。
 歌詞には出てこないが、女の子とたくさんデートしたわけでもないし、部活に熱中して、打ち込んでいたわけでもない。仲間もいなかった。

 そういう青春がなかったのだ。

 本ばかりを読んでいた。 

 とても残念である。

 ただ、屋上から見上げた青空が、とてもまぶしかったったであろうことはわかる。「Ah こんな気持 Ah うまく言えたことが な」かったであろうことはわかる。

 そしてそういう青春時代は、ほんの数年間で、あっという間に過ぎ去ってしまうものであろうことも。


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