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これは、目を光らせている人はちゃんとどこかにいて、いい作品(いい作家)を捜しているという話ではないか

 講演をすることになった。知り合いが私の小説を読んで、どういうわけか声をかけてきたのである。私の講演なんて誰が聞きたいのだろうか? それになによりもまず、集客が心配である。料金も取るらしいし…。主催はNPO法人のとある塾で、おそらくそこの会員がある程度は聞きにくるのを見込んでいるのだろうと思う。
 私は作家になりたかった友人、知人をある程度の人数、知っている。日芸時代の友人は、ほぼほぼ全員、作家じゃない場合も、ミュージシャン志望が多かった。その後、数十年が過ぎたが、私が知る限り、有名作家やミュージシャンになった人はいない。職場にも作家志望の人がいて、パソコンで書いてプリントアウトされた作品を読ませてもらった。いいものもあった。文芸誌の新人賞に投稿している人だったが、その後、新人賞を取ったという話は聞かない。
 私の周辺にいる、もろもろのそういう人のことについて話そうと思っていたのだが、先日、日記形式のWEB連載の文章を書き、紙で読みたいと言われ、自費出版で、小部数本にして出して手売りしていたら、出版社から声をかけられ、リトルプレス冊子として文庫化され、全国的に流通することになった。執筆依頼が増え、作家となり、芥川賞の候補にもなったという作家の話を読んだ。
 あれ。これは、目を光らせている人はちゃんとどこかにいて、いい作品(いい作家)を捜しているという話ではないか。ということは、私を含めて、私の周辺の友人、知人たちが世間的に取り上げられないのは、ひとえにこれといった光る成果がないから。つまり才能不足のせいということだろうか。
 とほほ。そうなのかもしれないが、才能不足でも、細々と小説を書き続けていく所存です、私は。よろしく。
 
*講演は今年9月下旬の日曜日を予定しているようです。場所等は決まっていません。

【async Ryuichi Sakamoto】

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