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ボブ・ディランの曲は懐メロにはならない

 7月29日の夜。
 ボブ・ディランがフジロックに出演した。
 私は、過去、二回、ボブ・ディランのライブを観ているが、それでも生で聴きたかったと思う。
 フジロックは、それぞれのエリアで、演奏がされているのに、ボブ・ディランの時間だけ、ほかのアーティストの演奏がない。ぽっかりあいている。
出演者がボブ・ディランを聴くからだという。本当だろうか。本当だとしたら、すげえぜ、ボブ・ディラン。
 フジロックは、ネットで生中継されている。楽しみにしていたのに、なぜか、ボブ・ディランだけ、中継されない。ボブ・ディラン側からOKが出なかったのだろうか。残念である。
 話は変わるようだが、台風12号の影響で、隅田川の花火大会が延期され、この日の開催になった。いうまでもなく、生中継である。フジロックにいくはずだった、みうらじゅんさんといとうせいこうさんがテレビの生中継の副音声で出演している。
 というと前から知っていたようだが、実は、ボブ・ディラン関連のTwitterをチェックしていて知ったのである。
 さっそくその番組を視聴した。隅田川花火の話をしないで、延々とボブ・ディランの話をしている。すげえぜ、みうらじゅんさんといとうせいこうさん。
 テレビ局のひとに怒られないのだろうか。心配である。まあこの二人に怒るひとはいないかもしれないが。
 Twitterから流れてくるボブ・ディランのライブの感想を順次チェック。「曲がまったくわからない」「初見泣かせは本当だった」などと書き込まれている。若い観客は困惑しているようだ。
 ボブ・ディランは昔の曲をそのままでやるような男ではない。アップデートしていく。原曲のメロディがまったくなくなってしまっても、気にしない。懐メロとは、当時のアレンジのまま演奏し、観客は、それを聴いて当時を懐かしむもの、と定義すると、ボブ・ディランには、懐メロは存在しない。
 曲が、常に成長しているのだ。
 というのは前回のオーチャードホールのボブ・ディランの演奏に対する私の感想だが、フジロックのTwitterを読んでいて、そんなことを思い出した。

 ボブ・ディランは、過去の栄光ではなく、常に現在にいる。


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緒 真坂 itoguchi masaka
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