読書法に関する本を較べ読み
読書会、と言うものに興味があり、近々やってみようと思っている。それにあたり、自分の読書歴などを思い出したりしているのだが、数多く「読書法」についての書籍があることに気づいた。お焚き上げ(断捨離)の意味もあり、自分の本の読み方を再整理して見ようと思った。
対象の書籍
忘れる読書
落合陽一 2022年11月9日 初版 PHP新書
読書する人だけがたどり着ける場所
齋藤孝 SBクリエイティブ 2019年1月15日 初版
精神科医が教える読んだら忘れない読書術
樺沢紫苑 サンマーク出版 2015年4月20日 初版
外資系コンサルが教える読書を仕事につなげる技術
山口周 KADOKAWA 2015年10月21日 第一刷発行
一流の人は、本のどこに線を引いているのか
土井英司 サンマーク出版
2016年10月15日 初版発行
対立点と共通点の発掘
ビジネス特化のものとか、比較的新しめのものでは、AIや動画との関係に触れられているとかの違いはあるが、話のテーマとしては概ね共通しているように思った。その中から自分の知りたいテーマについて較べ読み。
本の選び方
基本的には、(ビジネス系二冊の文脈で言うところの)基礎は押さえた上で膨大に存在する教養書から、差別化につながる本を選べ、とのこと。
言い換えると、私はこの分野に詳しいよ、を作ることに注力し、全部を読もうとするな(無理!)、他に詳しい人とチームになれということ。
以前よく聞いていたT型スキルの概念ですね、と思っていたら、10年前の本に同じこと書いてありました。最近はそう言わないのかも。
ベストセラーについて触れられている本が二冊。みんなが読んでる本は差別化につながらないから読むな、流行は短期間しか役に立たない、あるいは自分にいま本当に必要かどうかで選べ、と。
ビジネス書の分類
読むべき本、おすすめの本は全てふれられているけれど、ジャンル分けを明確にしているのは、「一流の人は、本のどこに線を引いているのか」
「読書を仕事につなげる技術」の二冊。呼び方や少し小分類が違うことはあってもほぼ以下のジャンルをビジネス書の基礎として挙げていた。
教養書の分類
こちらは、 「読書を仕事につなげる技術」に。最近読み始めた分野や全く触れていない分野があるので、意識して触れてみようと思った。
本の読み方
読書にかける時間や費用をどのように考えるべきか?
「絶対に忘れない読書」では読書にかけるお金は投資であり、一般の投資と同じようにリターンを得る期間を設計する必要がある。短期で成果の出るもの、ある程度立場が上がっていったときに役にたつものなど中長期的に考えるべきもの、と組み合わせで考え、かつ一定期間で購入した本全体でリターンを計るべきと述べられています。読んだ本が全然役に立たなかった、今の自分には難しすぎたと言うことがあっても、ほかの本で何冊分もの成果を得られていればそれで良しとすべき、と。こう考えておけば、本にお金を使うことに躊躇がなくなるでしょう。(これは読書に使った時間にも言えますね、さっさとサンクコストを損切りしていくことを考えるべきなのでしょう)
理解度、網羅度
どの程度深くまで読めばいいか?どの程度まで理解すべきか?前項の「元を取る」思考だと、「損を(確定)したくない」ので、一通り読まなきゃ・・・という意識に引っ張られがち。ほとんど全ての本はその価値はない、が共通の見解。むしろ、複数の本を同時に読め、と勧める。「一流は〜」では、一箇所役立つ表現を見つけられたら元が取れたと考えているし、読書でもいわゆる「パレートの法則」が当てはまるのは間違いなさそう。一通り読んでも、どれだけ頭の中や無意識に残って、行動の変化に繋げられるかで読書のリターンを図るべきということだ。
本読み作業(メモ・チェックなど)
本に書き込むか?
そもそも「一流は〜」はタイトルから線を引くとなっているし、「読んだら忘れない」にはそのために、本への書き込みが記憶へのアクションだと言っています。齋藤孝さんは以前紹介した三色ボールペン読書の本を出されていますし、書き込みながら読むのは共通した見解のようです。
何度も読む本、一生持っておきたい本についてそうするのは有効だと思いますが、私自身がそれに納得しきれていないのは、ほとんどの本はいつか処分の時が来るからです。合わせて、その際に売却することで、購入コストを回収しようと考えてしまっているからです。この点は著者各氏は否定的でしょう。一冊1500円(平均?)で数万円分の価値がある情報が手に入るのだから、と異口同音に述べられています。
電子書籍との付き合い方
この点は「絶対に忘れない読書」に詳しくメリットデメリットがあり、先の読書法ができない点をデメリットとして挙げられています。(メリットは言わずもがな、特にハイライトが秀逸で読み返しに大変便利。)
デメリットは、「ハイライト」と「検索」でカバーする読み方を身につけることをお勧めされています。ザッピング読みでハイライトをつけていく作業を最初にするのかな、もしくは目次読みで気になるキーワードを拾い、それで検索をかけていくとか。やってやれないことはない気がしてきたので、今度試してみたいと思います。
読書における統計
読書離れ、に一石を投じるのが読書会の役割だと認識しており、その現状を表すデータが目についた。
終わりに
著者の属性(コンサルタント、学者)や書かれた年代(10年前〜3年前)で内容が対照的で興味深かった。一方、共通した見解に収束するテーマもあり、それらは様々な立場・時代や角度から読書を見ても同じ結論になると言うことですから、相当程度議論が成熟していると言えると思う。
最近の本では、動画教材・AIとの付き合い方についての一考察が面白かったのでまた別の機会に触れてみたい。