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酒販免許にまつわるFAQをご紹介! - 2

FAQ活用の注意点

注意点としては、この質問に限らずどの質問に対しても同じことですが、このブログで回答していることは絶対ではないということです。
免許の性質上、提出された申請をどのように処理するかは各税務署長の裁量に委ねる部分が少なくないのです。
寄せられた質問の限られた情報の中で一般的な回答はできても、絶対確実な回答をすることは到底できないということ。
ですから、免許を取ろうという意思が確実になりましたら、必ず管轄の税務署に事前相談をすることを忘れないでください。

今日の質問です。

はじめまして、近々に輸入酒販免許を取りたいと思います(ワイン)。仕入先(某国名)・販売先も決まっています。ただまだ会社を設立していません。○月には設立できると思います。少しですが資金の方も調達が出来そうです。どのようにすれば良いのかアドバイスをお願いします
宜しくお願いします。

Answer

どのようにお答えすればいいのか困ってしまう質問です。このような情報のみでは何らお答えできることはないので、できるアドバイスとしては税務署に相談に行ってください、ということです。以上!

と言ってしまうと元も子もないので、正確な答えは直ちには出せないという前提で、可能な部分から判読して、考えられる可能性を探ってみたいと思います。

まず一番の問題点は、、、、

”近々に輸入酒販免許を取りたいと思います”

という部分です。「輸入酒販免許」を取るべき、というのは誰が決めたことなんでしょう?友達?会社の部下?それとも、、、?

そもそも輸入酒販免許という正式な区分は存在しません。が、おそらく輸入酒類卸売業免許のことを言っているんだろうと推察されます。

そうだとしても、果たして本当に必要なのが輸入酒類卸売業免許でいいのか? という問題がありますね。
外国からお酒を輸入するんだから「輸入酒類卸売業免許」でいいんじゃないの?
って、思うのも無理からぬことです。

実は、私が資格をもって酒販免許の業務をやり始めたばかりの頃、単純にそう思って間違えそうになったという経験があります。あ〜、恥ずかしい。。。。
その実例をお話しすると、申請者は外国からブランデーを輸入して、その後の細かい過程は省略しますが、自分の店頭で一般個人の消費者に販売するということを考えていたわけです。

「じゃぁ、輸入酒類卸売業免許免許ですね」

まだあまり経験のなかった当時の私は「酒の輸入=輸入酒類卸売業免許」と単純に思い込み、書類の作成準備に入ってしまったわけです。
書類を作成する過程で、確認事項が出てきたので税務署に確認したのですが、税務署からは「どのような事業をするんですか?」とか「輸入元は決まってるんですか?」「販売先はどういう人を想定しているんでしょうか?」などなど、いろいろな質問を受けましたが、その結果、税務署から得た答えは、

そういうことならば、申請してもらうのは輸入卸の免許ではなく一般酒類小売業免許ですよ。
輸入酒類卸売業免許というのは、自己が輸入する酒類を「卸売り」するための免許ですから。クライアントさんが考えているのは卸売りじゃなくて「小売」でしょう? 店頭で一般消費者に対して販売するというんだから。ですから、申請してもらうのは一般酒類小売業免許ですね。

というものでした。

酒の輸入=輸入酒類卸売業免許という表面的には似たような事象だけを捉えて、どのような販売をするのか、誰に対して販売するのかなど、実質を見ずに判断すると私の恥ずかしい間違いのように申請する区分を見誤ることになります。

今回の質問では、「ワインを輸入して販売したい」ということだけしか書かれておらず、輸入後に卸売をするのかまたは小売をするのかということが全くわかりません。

さらに行う事業形態をよく聞いてみたら、もしかしたら媒介・代理の形態なのかもしれません。そうなれば媒介業免許や代理業免許が必要ということもありえます。

このように、表面的に似ているからこれで良い、というものではありません。事業形態に合わせた正しい免許で申請しなければいけないのです。

その意味でこのご質問を見る限り、質問者が考えている輸入免許でいいのか判断することはできません。

法人申請は法人設立後に

酒販免許の申請は「個人」でも「法人」でどちらでもできます。

”まだ会社を設立していません。○月には設立できると思います。”
ということなので、申請人は法人名義で申請をしたいということが読み取れます。

「○月には設立できる」という見込みも立っているようなので、申請そのものは法人設立登記完了後になります。申請書類の作成そのものは法人設立前から始めてもらって別に構わないのですが、申請は「法人」設立登記後でなければいけません。

いうまでもないと思いますが、「法人」と「個人」は全く別のものとして扱われます。仮に個人で免許を受け、改めて法人化する計画があるのであれば、法人成りした際、代表者が同じだとはいっても、個人で受けたその免許はそのままスライドで法人に引き継がれるものではありません。個人として受けた免許を取り消して、また改めて法人で申請し直さなければいけませんので、法人化のスケジュールなども慎重に検討の上、どのタイミングで申請するべきか決定しなければいけませんね。

資金調達やその他の経費等

「少しですが資金の方も調達が出来そうです。」

資金の調達はめどは立っているようですね。それが自己資金なのか、或いは融資によるものなのかもしっかり検討しておかないといけません。
しかし、今の段階では、資金調達の方法も検討するのと同時に、基本的なやるべきことをしっかりと押さえておく必要があります。

酒販免許を取得するためには、申請者は重要な要件をクリアしなければなりません。その要件をクリアしているのか十分に検討してください。要件がクリアできなければ、最悪の場合には拒否処分を受けてしまう恐れもあります。

酒類の仕入先や販売先の見込みは立っているでしょうか?
年間でどのくらいのお酒を仕入れてどれくらい販売するのでしょうか?
そもそも、販売場は決まっていますか? 借りるとすると家賃や水光熱費、維持費等はどのくらいかかるのか計算していますか?設備や備品の調達具合はどうですか?これらを全部ひっくるめた業務上かかる経費(販管費等)は計算されていますか?
その他、考えなければならないことは山ほどあります。

早く申請したいからと、慌てたり焦ったりするのではなく、事業の計画をしっかり考えてください。
申請書は当然、税務署に提出するものですが、それ以外の誰かに見せたりするようなものではありません。
申請者の実力以上の無理をした目論見(もくろみ)を作る必要は一切ありませんし、そんなことをしても無意味です。
地にしっかり足をつけた事業計画を作るようにしてください。

まとめ

結局、今回の質問内容では何の免許を取得するべきかを判断することはできませんでした。決めなければならないことはたくさんあります。一番大切な部分ですので、自分のやりたい事業をよく把握した上で慎重に決定します。基本的には税務署に相談してくださいね。




酒販免許のことで何かご質問があれば、メッセージをお送りくださいね。

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