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娘であり、母である 「今」
娘に関わってくださった…
例えば
保育園の先生 とか。
10年通ったピアノ教室の先生 とか。
しばらく会ってない親戚のおばちゃん とか。
最近偶然会うことが続いて、
「お元気?」の返事に
「今年受験生なんです」と答えた。
あんなに小さかった女の子がもう18歳なのか。
それだけで時間の経過が分かる。
それが会話のネタになればと思った。
そう。いよいよ受験。
まだ進学先が決まってない我が子。
今日あたり最終決定らしい。
地元の大学に自宅から通ってくれたら良い。
もう少し一緒にいさせて欲しい。
そのくらいに考えていたけれど、願いが叶えば(合格すれば)
彼女はきっと目指している大学へ行ってしまうのでしょう。
さみしい。
春からは娘がいない生活が始まる。
旅立ちは喜んであげたいが、とにかく寂しいが勝つ今日この頃。
と言いつつも 私も高校を卒業したあと、
自分の進みたいように勝手に決めて出て行ったくち。
今頃になってお母さんごめんなさいと思う。
嫁いで暫くは子どもの顔を見せなきゃ!
と思い、よく実家にも帰っていたけれど、
子どもたちもいい歳になった今、各々自分のことが忙しいのが現状。
家族揃っての里帰りもいつが最後だっただろうか。
母も寂しかっただろうか。
あの時、私が家を出た時
寂しいと思っていたのだろうか。
「ばあちゃんも、母さんが居なくなった時こんな気持ちだったのかなぁ」
心の声をふと娘の前で口にした。
母は一人でも意外と平気な人。
娘の私にはそう映っている。
「気持ちなんて言葉にしないと分からないよ。
おばあちゃんに聞けばいいじゃん。」
娘は当たり前のことを普通に言った。
世の中、当たり前のことを普通に言えなかったりするものだ。
照れもあったりするものよ。
と思ったが、娘の言葉に背中を押された。
先週、用事があって主人と二人で実家に顔を出した。
会えばお互いが近況報告をする。
隣でじっと待っていてくれた主人は特に驚くこともなく、ただひたすらに
嵐のように繰り広げられる親子の会話を聞いていた。
「娘がいなくなるってどう?寂しいもの?」
いざ話し始めてもやっぱり照れはある。
母親に選択を増やしてみた。
「まだ弟がいたから、一人減って楽になったくらい?」
「そうね。寂しかったよ。
寂しい…っていうか、
いる場所は分かってるから、行方不明みたいな心配はないんだけど、
一人で生きていく(実家を出て一人暮らしに必要な)術を全て教えてあげられたかなって、不安にはなったかな。」
そんなこと思ってたの?
私の周りにはありがたいことに いつも誰かがいてくれたから
一人暮らしも苦痛じゃなかったよ。
洗濯も掃除もご飯も
なるようにやって来た。
頑張り過ぎてもないけど、サボってもない程度に。
「それより、
嫁に行ってからの方が心配だった。」
ん?
生涯の伴侶を見つけて、一人じゃなくなったんだから、そこは安心するところじゃないのか!
と思ったが、母には母の想いがあるようで
「三行半突き付けられたらどうしよう」
とずっと思ってたらしい。
実家に帰る度に言われるのは、
旦那さんを大事にしなさい。
旦那さんを立てなさい。
家事をさせたらダメ。
台所に立たせるなんて以ての外。
って、アレ
半分冗談で聞いてたけど、本気だったのね。
古い風習が残る長男の嫁をやっていた母の気持ちは分かるけど、
主人は難しい人じゃない。
母の時代とも違うし、
喧嘩もほどほどに上手くやれてると思う。
そっか。母さん、不安だったのね。
今年結婚24周年を迎えます。
おそらく仲良し夫婦だと思います。
もういい加減、心配しなくていいよと声を大にして伝えるべきだっただろうか。そう思っていた矢先、
「僕の方が、いなくなられたら無理です。」
主人が母に伝えた言葉で安心してくれただろうか。
自宅に帰って、娘に
「ばあちゃんも寂しかったんだって~。」
なんて話そうと思っていたのに
話はもっと温かい終わりを迎えると思ったのに
想像してたのとなんか違う。
これは完璧に笑われて終わりのネタだ。
母さん。
私は娘に生きていく術を教えてあげた自信が全くありません。
ごめん。