自殺念慮の殺間 【下】
また朝が来た。
職場に行かなきゃいけない。
そう思ってうんざりしながら伸びをしようとして雪乃はふと違和感に気付いた。
狭いシングルベッドに雪乃の身体をがっしりと抱き締めるように寝息を立てる男がいる。
雪乃には恋人や一夜の過ちを犯してしまいそうな相手はいない。
雪乃の恋人は夢の中でまるで操られているかのように身体を繋げてしまう男、自殺念慮の殺間だけだ。
短く息を吸い込んで男の腕から抜け出して布団から抜け出して相手の男の顔を確認すると、そこには雪乃の夢の中の逢瀬の相手が実態を伴い