今更、

「ねえ、週末どこ行きたい?」
「わたしはどこでもいいよ。」
「…あ、今日の夕飯どうしよっか。」
「んー、なんでも。」
「…、僕らさ、別れる?」

「…うん、そうしよっか」



そうやって、わたしたちの関係は終わった。






「なんで別れたの。」
「んー、お互いに冷めちゃった、みたいな。」
「そっかあ、、ま、なんでもいいけどさ。今まで彼氏と遊んでた分またわたしといっぱい遊んでよね〜」

そんな、友人との会話。

その会話の途中、ふと鞄についたストラップが目に入る。

初デートの日。
水族館で買った、初めてのお揃い。

懐かしいなあ。



「ちょっと、聞いてる!?」
「…あ、ごめんごめん、で なんだっけ。」





くだらないことを駄弁って、いつものように家に帰る。

ご飯を食べて、お風呂に入って、適当にチャンネルを回して。


でもなんだか物足りなくて鞄の中からスマホを取り出した。

友人からのLINEを返したり、
特に意味もなくSNSを眺めたり。




「…あれ、」

そんな中視界の端に映った鞄には、ストラップがついていない。


落とした…?

よく見ると、紐部分は残っていて、飾りの部分は取れてしまっているようだった。

「買ってからずっと付けてたからなあ、もう、寿命か。」


…このストラップのように、わたしたちももう、寿命だったのかなあ、

ずっと繋がっていたせいで、段々と古くなって疲れていって。



でも、紐だけ残ったストラップを見て気付いてしまった。






「…わたし、まだ貴方のこと、好きだったんだよ、」




今更気付いても、遅いよね。

ごめんね。


さようなら。

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