半端な私のQ(questioning)
私は男として生まれた。
けれど、そんな私のなかにはいつも、こんな問いがぐるぐると回っている。
Q:私は男?
A:自分は男だ、とは言いたくない。
Q:では、私は女?
A:だけど、私は女だ、と言いきれない。
Q:なら、中性? 無性? いわゆるX?
A:それは違うと思う。うまく言えないけれど、私は「どちらか」に自分を置いていたい。「置かない場所」に置いていたいわけじゃない。
結局、私は半端者だ。
半端者というやつは始末が悪い。どこへいっても、なんとなく自分の居場所はここじゃないような、そんな居心地の悪さがある。座りたい席があるのに、座れないでいるような感じ。これはただ臆病風に吹かれているだけなのか、それとも。
それとも。そのあとは続けられない。続けることが、怖い。こんなところも中途半端だ。
本当は「私は女だ」と言いたいのかもしれない。けれど、私のなかにいる私が「やめなさい」と言う。
おまえは女じゃない。女だなどと言っていい人間じゃない。
そう言って、私の口を塞いでくる。他でもない、私自身がそうしている。
それでも、私は自分を男だと言いたくない。Xだとも言いたくない。結局「まだ決めてないだけ」という場所に逃げ込んでいる。
私のQは、こうしてできている。
世の中、はっきりした人がとても目立つ。自分はこうしたい! とキッパリ言える人が。
それは多分、とても素敵なこと。
素敵だからこそ、人が集まる。
そして、そんな素敵な人は、いろんな形の幸せを手に入れられる。
ああ、いいな。羨ましいな。素直にそう思う。
私も、もう少しはっきりしよう思った。
はっきりしない自分が、はっきりしないんだとキッパリ語ろう。
そうしたら、私の未来も少しだけ開けるかもしれない。
たとえそうでなくても、私のはっきりしない記録は、どこかのはっきりしない誰かに、寄り添えるものになるかもしれない。
いつか、はっきりしたい。はっきりした自分を、キッパリ語りたい。
だけどいまは、これが精一杯。