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違う世界に生きている
または流血して知る見えない世界。
大袈裟なタイトルをつけてみたが、ぽたぽた血を流しながら、もうこれはネタだと思った。かねてより、身近にいる人たちと見ている世界が違うと実感していたが、自分も確かに見えていないものがある、特に思い込んでしまうと、と、思い知らされるできごとだった。
真面目なサラリーマンであるボーイフレンドは、「5時から」男で、仕事は福利厚生を得ることと食べるためだけで、はや勤続20年。5時から何をするかというと、基本、家庭的な、保守的・安定志向の趣味人で、変化とリセットを愛する自分とは真逆であった。
だが、一点?共通したのはクラシックロック好きで、彼は他人のバンドでも自分で組織したバンドでもリードギタリストだった。
彼が若かりし頃、自分でドラムマシンまでプログラムして自作自演した曲は、オープンリールに録音されており、以前、デジタル化してリミックスするというプロジェクトに付き合った。
完成したら、当然!クラウドに載せて、販促しないまでも発表はするものだと思ったが、何もせず、データとしてコンピュータに保存されたままだった。
彼の謎のロックンローラーな体質を本にした際、勝手ながらクラウドにも載せさせてもらった。
Spotify はもちろん、 Amazon 、 Apple 、Pandora 、そして BandCamp 。
いつばれて、
お前なんてことをしたんだ、と怒られるか、
デジタルに弱い自分の代わりにありがとう!と感謝されるか、
何が起きるか楽しみにしていたのに、一年経っても何も起きない。
本当に気づいていないらしい。
すごい。
だが、「自分もいかに世界が見えていないか」な事件が二つも続けて起きたので、よくわかった。
一つ目は、スマホ上の電話アプリを削除し、再インストールした際に起きた。
アカウントもクレジットもあるはずなのに、Get Startedをたどっていくと、「どうしても」番号選択画面になって、ログインさせてもらえない。
仕方なくサポートにメールすると、初期画面にアカウントログインの「ボタン」があるという。
私にはない。
スクリーンショットを送るように言われて、撮ってメールに貼り付け、送ったあとで、正しく添付されていたかを確認していたら、ボタンではなく、サインインリンクが確かに Get Started 画面にあった。
送ったばかりのメールを再送して、スクリーンショットからサインインできて、クレジットも取り戻せたことを知らせた。
二つ目が、流血事件である。
在米だったが、帰国した友人のアパートを引き継ぎ、彼女が残していってくれたキッチン用具や家具を重宝させてもらっていた。目的がちょっと違うかもなと思いながらも、何か思い立って探すと必ず見つかり役に立つものばかりだった。
今日は、開封したエプソンソルトの袋を密封しておくための洗濯バサミのようなものを探していた。日本では見かけたことがないが、アメリカではスナック菓子用の洗濯バサミが存在する。
キッチンの引き出しにそれらしいものを見つけて、はさむ部分を開けてみると「蛾」がつぶれてはさまっていた。
これでもかというほどの掃除用具や目的別の洗剤が各種取り揃えてあるのに、この「はさみ」だけ「蛾」がはさまっているのは珍しい、とまで思った。
思っただけで、流しで水を流しながら、「蛾」を親指で取ろうとした。
するといきなり流血。
蛾ではなくて、刃だった。
蓋のイラストはみかんで、この刃で夏みかんの皮に切れ目を入れて剥くための用具であることを理解した。
救急用具は衛生上残されていなかったが、なぜか絆創膏は自分のナップサックにあった。わざわざ刃物の上に指を滑らせて切り、口が空いた親指からの血はなかなか止まらないので、絆創膏の上にカバーが必要だった。もちろん親指の付け根は輪ゴムで何重にも絞めてある。
手に密着するタイプのゴム手袋があった。包帯がわりに使用した。
みかん向きカッターを、スナック菓子用洗濯バサミと思い込み、カッターの部分を蛾だと思い込み、全く確かめようともしなかった。
冷静に驚いた。