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めっちゃ歩いた日¦ゆるログ#16


職場を出て唐突に、「なんか今日めちゃくちゃ歩きたいかも」と思った。

Googleマップで調べると、家までは3キロくらい。普段バスで通っているが、歩こうと思えば全然歩ける距離である。車の免許を持っていないので基本徒歩移動だし、わたしのお散歩スキルを舐めてもらっちゃ困る。

という事で、初めて徒歩で帰宅する事にした。

職場を出て5分。
わたしは既に5分前の自分を恨んでいた。寒い。
しかも今日はでたらめに風が強い。顔に当たる風は冷たさを通り越してもはや痛い。誰だ、歩いて帰ろうとか言ったやつは。

そんなことを思いつつも足を進める。
少し歩くと、団地が見えてくる。団地での生活を思い浮かべたとき、なんとなく角のないまぁるい様子が思い浮かぶ。
実際どうかは分からないし勝手な幻想かもしれないけど、例えば、誰かがわたしを思い浮かべたときに、角のないまぁるい印象を浮かべてくれたらとても嬉しいなと思う。それに関しては、幻想かもしれないですがね。

さらに進むと、薬局ゾーンに突入する。
数メートル置きに薬局があり、反対側にも薬局。激戦区である。こんなにいっぱいの薬局があって、ちゃんと全てのお店が成り立っているのだろうか。大喧嘩なのでは?と思うが、きっと余計なお世話だと思うので考えるのを止めた。

強風で煽られる「かためプリン」と書かれた旗が目に入る。ずっと気になっている甘味処だ。かためプリン、大好き。

寒さに打ちひしがれそうになっていると、散歩中の大きめの犬と目が合った。わんちゃんに詳しくないので、どのような種類かは分からないけれど、大きくてベージュでとっても優しい顔をしている。大きいわんちゃんって、なんだか冬が似合うと思う。良い。心の中で会釈をしてすれ違う。

さらに進めば、大きな川が見えてくる。
わたしは、昔から大きめの川をぼんやり眺めるのが好きである。地元に居た頃も、よく川沿いを散歩していた。川を見ると、気持ちがまっさらになる気がする。魚座だし、水場に行くと元気になるのかもなぁなんて魚座であることを美化しようとしたが、全く泳げないしプールや海は苦手だから、この思考には蓋をして、歩く。

川を越えれば、もうほぼ家に帰ってきたようなものである。
くしゃみをしつつ、誰もいない公園を横目に歩みを進める。ウサギなのか犬なのか分からない、塗装の剥がれたオブジェと目が合う。ホラー映画だったら、絶対に夜な夜な動き出すやつだ。顔面の不気味さから察するに、あれは人とかをガブガブ食べちゃうタイプだろう。

そんなくだらない事を考えているうちに、自宅が見えてきた。
ふと空を見上げると、今日は雲ひとつない青空。風が強いから、雲もどこかに流れてしまったんだろう。

こんな青空の下、平穏に暮らせていることは何よりの幸せかもしれないなぁと思った。
しょうもない事を考えて、のんびり歩いて、好きな事に思いを馳せて、わたしは平穏に、平凡に暮らしている。

そんな日ができるだけ長く続きますように。
そして、どうかどうか、明日筋肉痛がきませんように。

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