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デジタルなら手に障害があっても直筆のサイン以上のことができるはず
CivicTech & GovTech Advent Calendar 2024 こちらの記事は12月24日の記事です。
本日担当するのは、みんなのトイレマッププロジェクトの菅原こと、Penが担当させていただきます。私は、2023年に一般社団法人イトナブ石巻にて、みんなのトイレマップ(https://toiletmap.net/)という宮城県石巻市内の多目的トイレの情報が事前に知ることができるWebサービスをリリースしたことから、シビックテック界隈に参加させていただいております。例年ですと、12月3日の国際障害者ディに会わせて記事を書くことが多かったのですが、今年は登録が遅れてこの日に書かせていただくことになりました。
改めて「シビックテック」ってなんだろう
11月滋賀県の草津市で開催されたCodeforJapanSummitの懇親会でこんな質問を受けました。
「トイレマップのPenさんは、どうしてシビックテックに関心があるんですか?」
私も、少し驚いてしまったのですが、改めて「シビックテック」の領域の広さを思い知った質問になりました。この質問は、とてもいい質問だと私は思っています。なぜならお互いにとって「シビックテック」という言葉の広さを知ることができたからです。シビックテックに関心のある方は様々いることでしょう。ある人は、自分に住んでいる地域を思ってブリゲードを作って活動しています。また別の人は教育、政治、自然環境、コミュニケーションにデジタルを活用し、アップデートしようとしています。どれも大切なことなので、私は各々の取り組みをじっくり聞くことがとても大好きです。そしてこうした熱い思いには「当事者」としての気持ちがあると思います。この素敵なコミュニティに参加できていることを深く感謝いたします。
「当事者」としての自分
先述で、皆が当事者として熱い思いを持っていることを扱ったのは、やはり自分もシビックテックの活動に繋げていく部分に、この「当事者」という思いがきっとあると思っているからです。私は身体に障害を抱えて生活しています。この経験があったからこそ、多目的トイレの情報を事前に知ることができたら良いと思って宮城県石巻市内でサービスを展開したり、この活動を他の地域に広めようとしています。
このあとに問題提起をする部分も、きっとこの障害を抱えている自分だからこそ見えてきた問題であって、解決策としてデジタルを活用できないかと感じていることを書いていきます。
直筆が本人確認の有効な手段なのか
実は、私自身もこれまで直筆に関して、これほどまでに疑問を感じることはなかったのですが、実家の住み替えをする際に、ゆくゆくのことを考えて、名義などを親から私にするとなったときにある疑問がわいてきました。
これは、不動産の手続きをサポートされている団体のWebページから引用しています。
以前、不動産の売買契約書には、実印での捺印が必要と説明しましたが、実印の捺印に加えて、更に売買契約書には、売主、買主本人の署名も必要になります。
これは、売主、買主が売買契約を締結する意思があることの表明及び、契約を締結した者が本人であることの証明になるからです。
ただ、実印の捺印と同様に、法律で本人の署名が義務付けられているわけではありません。
法律上、売買契約書への署名捺印は必須ではなく、本人の署名は、あくまでその後のトラブルの防止のために行うもので、契約を本人の意思で締結した事を証明するために行います。
以上のことから一般的に売買契約書には当事者本人が署名をします(法人の場合は、法人名の角印を捺印する場合が多い)。署名する氏名については、本名である必要はありませんが、印鑑証明書記載の通りの名前で署名するのが、ほとんどです。
契約書への署名は、本人の意思による締結もそうですが、契約の内容の細かな部分も確認し、同意した旨の証明にもなります。
つまり、手書きができなければ不動産の書類は作成できないということになります。さて、私は手に障害があります。字を書けると行ってもそれが正確に識字できるかと言えば厳しいでしょう。では私は不動産のことを扱うことができないのでしょうか?
もちろん、私の性格をよくご存知の方であれば、こんな事で私が負けないことも知っているでしょう。この度も徹底的に調査をし、解決方法を探りました。私は代理人に委任状を書くことで、解決することができましたが、しかし有料です。これって私が払うべき費用でしょうか。
そんなこと言い始めたら、世の中おかしいことも理不尽なことも山のようにあるんだと言われそうですが、当事者だからこそ気付くことができた疑問であって、だからこそ問題提起をしたいと思うのです。
デジタルの時代における本人確認
私達は、デジタルで社会の諸問題を解決しようとするシビックテッカーです。だからこそデジタル活用を提案していきたいと思います。
私がデジタルで書類を作成していき、本人確認を高めるために有効な手段は、マイナンバーカードの認証と顔認証の組み合わせだと考えています。この2つを組み合わせて使うなら、本人の確認性は非常に高いと考えているのです。加えて、この2つであれば既にあるデバイスで実装することも可能でしょう。
私が、今回こうして声に上げさせて頂いたのは、多くの障害者にとって親を亡くす年代に来てると言うこともあります。つまり、書いた字が識字できなければ受けるべき物も受けられないという問題も生じてくるでしょう。私のようにガッツと気合いで徹底的に調査できるのであれば、代理人という方法も見つけることもできるかもしれませんが、すべての人がそうではないのです。だからこそ、こうした不動産取引の分野でも、制度設計の見直しやデジタル活用が必要であると私は訴えます。
希望は捨てない
2年前のアドベントカレンダーで、私は障害者手帳のデジタル化について論じさせていただきました。
確かに障害者手帳は完璧にデジタル化にはなってはいませんが、マイナンバーカードと連携させることによって、鉄道の障害者割引きがネットで購入できるようになりました。
私は、できないと思い声を挙げないよりは、正しい仕方で声を上げていくことによって、アクションを起こす方が好きです。今はすぐには変わらないかもしれませんが、今日問題を提起した点がゆくゆくよい方向に変わることを願っています。