一人男の娘AC-17:「男の娘」で書かれた論文は存在するらしい

ティーカップ横綱 一人 Advent Calendar 2020 十七日目の記事です。

https://adventar.org/calendars/5488

 世の中、論文というのは数多く存在しています。大学生ですと殆どの場合卒業論文を書かなければならず、そのための参考文献としてネットの海をサーフィン…というよりほぼ溺れかけながら探したりします。身につまされる思いがしますね。当然それらは研究結果の報告書という側面もありますので、そこに書かれているデータは反証可能でなければなりません。また、先述の通り過去の研究史についてもある程度振り返らなければならなければならない(それらが触れていない部分=その論文の新奇性)です。だから、反証もできなさそうだし特に先行研究についても触れていないこの記事とかは論文足り得ないというわけですが…

 ところで、「女装男子」や「異性装」について取り上げた論文というのは世の中には存在しているのでしょうか。ググってみた所ありました。ジェンダー越境の可能性という文脈で取り上げられているようです。ちなみに検索の最初の方にいっぱいでてくるのは「ユリイカ」という月刊誌で特集が組まれたときの記事が大半なので微妙に違う気がして取り上げていません。

https://mate.fuk.u-tokai.ac.jp/bulletin/2009/43-P09_N07-2009_kamiyama.pdf

https://www.human.niigata-u.ac.jp/wp-content/uploads/2019/01/RMS2017.pdf

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/237399/1/GT_Fukino_Hotaru.pdf

https://ci.nii.ac.jp/naid/40004860273

…最後のはちょっと違う気もしますが。

さて、先日の記事によって筑波大学を凌ぐ女装男子の聖地であることが判明した(本当かよ)東京大学の機関リポジトリで同様に女装男子や異性装に関する論文が存在しないかを検索してみることにしました。

Screenshot_2020-12-19 UTokyo Repository - 東京大学学術機関リポジトリ

…どうやら検索語の設定を間違えたようです。(「女装」で全文検索は流石にむちゃがあった)気を取り直してキーワード検索してみましたが、それ自体を主題にしているものはありませんでした。でも「MTFの声がどんぐらい女性に聞こえるか」を定量的に測定する、っていう結構面白そうな論文は出てきたので共有しておきます。

https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=1801&item_no=1&page_id=28&block_id=31

そして、東京大学と言えども…

Screenshot_2020-12-19 UTokyo Repository - 東京大学学術機関リポジトリ(1)

Screenshot_2020-12-19 UTokyo Repository - 東京大学学術機関リポジトリ(2)

…いや多分「アリ―・シャーの巻物」に男の娘に関する記述はないと思います。

東京大学の結果がパッとしなかったので、かつての聖地筑波大学のリポジトリも検索してみることにしました。…でも男装についての論文1つくらいしか見つかりませんでした。なんともぱっとしない結果に。

https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=5173&item_no=1&page_id=13&block_id=83

上記2つはリポジトリから検索した結果ですので、もしかしたら学部単位で保管されている卒業論文の方には結構な数存在しているのかもしれませんが、実際どうなんですかね。

…と、ここまで書いたところで本題を思い出しましょう。今回は「男の娘」について書かれた論文を探しているのであって、「女装男子」や「異性装」に関しての論文を探しているわけではなかった、ということを。…しかし、それらでもこれしか論文が見つかっていないのに、本当に存在するのでしょうか。

しました。近畿大学文芸学部文学科日本文学専攻の卒業論文の題目ページに、その名は燦然と輝いておりました。渡邊雄気さん、ありがとう。

https://kuwabaraseminar.files.wordpress.com/2013/02/2012kuwabaraseminar-sotsuron.pdf

ただ、タイトルが「男の娘という存在―ホモソーシャルなオタク文化―」であることからも分かる通り、男の娘という虚構を作り出したオタクのホモソーシャル性に対してめちゃくちゃエグく批判してます。「オタクは、美少女キャラクターよりも自分たちに都合のよい性的対象を作り出したのだ」と男の娘は評されています。業が深い…

最後に、今までのことを踏まえ、男の娘を私なりに定義していきたい。広義の定義としては、性自認が男性であること、性的客体であること、美少女的な容姿を持つこと、虚構性の強い存在であるということ、作品内でその存在が認められていることの五つだ。

というかこの論文を根拠に、今まで眉唾程度に提唱していた「男の娘ミソジニー産物説」が少しだけ信憑性を帯びた気がする。ほんの少しだけ。

僕の卒論は男の娘にはならない予定なんですけどね…

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