表層二百メートルの水底
僕らはいつだって少しだけ、
息のしやすさを望んでる。
大海は時として濁流のように、
此方の都合を見向きしない。
渦と、風と、砂と、鳥が
一枚の隔たりの向こう側で
方々に散る様を見上げる。
底の底、泡ぶくが溶ける様をおもう。
魚はあるがままに振る舞う。
藻屑は流れに身を任かせる。
どっちちかずの僕らは
羨んで憎むことすらできない。
とっくの昔に置いてけぼりで
満たせない胸腔は苦しさばかり。
それでも僕らは問うしかない。
いつになったら楽に成れるの。
生の謳歌は順調ですか。
向こう側なら空いてますか。
底の底には届かない。
明るい未来なぞ見えやしない。
知らないと叫んで殻に篭る。
誰も知らない世界がいい、
まっくらこそが、幸いだった。
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