海月になるころ 3 壱宍 (若槻きいろ) 2020年9月1日 22:18 ひとつとり溢す度に、水辺の波紋がへっていく。年々呼応する音がきこえなくなった。酷く静かな波だけがよる。きっとそれだけで生きてしまえる、単純な細胞でありたかった。真綿の朝を迎えて、緩む髪が流れて、あたらしい今日を聴く。足裏の地を感じて、のしかかる時間を思い起こして、浅瀬のそこで息を吐く。くりかえし、くりかえし。粛々と、くりかえし。空気が薄らになる頃まで。くりかえし、くりかえし。僕らがとうめいになるまで。 #全読 #詩 #現代詩 ダウンロード copy #詩 #現代詩 #全読 3 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート