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2020年7月の記事一覧
春よ遠ざけ、荒野を進め
○変わらないもの
春は死のにおいがする。
時は既に梅雨荒れ狂う初夏であるが、内を覗けば、そこはいつだって花が生茂る前の冬の終わりだ。
大気中に震える水滴は冷気に帯び、地中からは始まりの芽がにょきりと生える。厚手の衣から体温を否応なく毟り取る。隙間からひゅう、と紛れ込む。
微かな青臭さが鼻を抜けて脳へ、しかし触覚でわかるのはキリの無い冷たさだ。
いきものと、そうでないものがない混ぜになって、自身
○変わらないもの
春は死のにおいがする。
時は既に梅雨荒れ狂う初夏であるが、内を覗けば、そこはいつだって花が生茂る前の冬の終わりだ。
大気中に震える水滴は冷気に帯び、地中からは始まりの芽がにょきりと生える。厚手の衣から体温を否応なく毟り取る。隙間からひゅう、と紛れ込む。
微かな青臭さが鼻を抜けて脳へ、しかし触覚でわかるのはキリの無い冷たさだ。
いきものと、そうでないものがない混ぜになって、自身