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1月下旬 日本を含む東アジア全域に寒波が到来 寒波の要因 世界の状況 「世界で1番寒い都市」 アフガニスタン 北朝鮮

 1月24日~25日、日本は「10年に1度」ともいわれる大寒波に襲われた。24日には、静岡・銚子・東京都心で初雪となり、沖縄を除く全地点で初雪が観測。

  寒波は日本を含む東アジア全域で観測。米CNNは、

 「東アジアに暮らす数千万人が25日、厳しい寒波に直面した。」

(1)

 と報道。

  旧正月を迎えた中国では、氷点下の気温と大雪で春節の移動は大混乱に見舞われる。韓国では豪雪警報を発令。首都のソウルでの気温が-15℃にまで低下した。

  北朝鮮の首都平壌でも、当局が極端な気象条件への警戒を呼び掛ける。国営メディアは、地域によっては-30℃以下になるもと予想した。

  中国の最北端に位置する黒竜江省漠河市では22日、-53℃に及ぶ史上最低の気温を観測。

  気候の専門家は、このような極端な気候や天気が、

 「新たな標準」

 になったと警告を発す(2)。

  米大気研究センター(NCAR)に所属するケビン・トレンバース氏は、

 「極端な天気事象が新たな標準になっている」

(3)

 と指摘。

 「確実に予測できるのは、気候の極端化はこれまで以上に悪化するということだ」

(4)

 と述べた。

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寒波の要因① エルニーニョ現象、ラニーニャ現象

 

 米大気研究センターのケビン・トレンバース氏はまた、エルニーニョ現象やラニーニャ現象といった太平洋の気候パターンが世界の気象に影響を及ぼしているとも付け加えた(5)。

  エルニーニョ現象とは、太平洋の赤道近辺の日付変更線から南米の沿岸にかけて、海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象。

  反対に、同じ海域で海面の水温が平年よりも低い状態が続く状態は、ラニーニャ現象と呼ばれ、それぞれ数年おきに発生する。

 これら、エルニーニョ現象やラニーニャ現象は、日本を含む世界中の異常な天候の要因となり得ると考えられている(6)。

  このうち、世界的な気温の低下をもたらすとされるラニーニャ現象は、現在の寒波の一因になっているという。

  寒波の要因の一つは日本付近の上空を吹く偏西風が平年より南を蛇行し、北極付近からの寒気が流入しやすい状況となった。

  南米のペルー沖の海面水温が平年より低い状態が続くラニーニャ現象の影響で、温かい海水が推し出され、西大西洋熱帯域の海面水温が上昇。一帯で積乱雲が発達し、結果、偏西風を蛇行させたとみられる(7)。


 寒波の要因②  地球温暖化による「極端現象」が異常な気象を招く

 

 ラニーニャ現象もエルニーニョ現象もそれ自体は自然な気象現象であるが、しかし地球温暖化による気候変動は、それらがもたらす気象を”極端に”する。これを極端現象という。

  極端現象とは、大雨、熱波、干ばつ、台風、ハリケーンを含む熱帯低気圧など極めてまれに起こる気象現象のこと。

 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の評価報告書で記述されている「extreme event」に相当する気象用語で、「極端な現象」とも訳される。

  日本では、「極端現象」という言葉ではなく、「異常気象」という用語が用いられている。気象庁は、異常気象を、

 「30年に1回以下のまれな現象」

 としてきたが、毎年のように高温や大雨の記録が更新されるようになり、異常気象という呼び方も見直されつつある。海外ではだいぶ前から「extreme weather (events)」「weather extremes」が頻繁に使われている。

  IPCCなどの報告書でも多用され、日本国内でも今後「極端な気象現象」「極端気象」という言葉が一般的になるだろうとも。

  ただ、極端現象により、短期間に大量の降雪をもたらす「ドカ雪」が増えているものの、全国の年間降雪量は減少している。

 世界で最も雪深い都市とされる青森市を擁する青森県内でも、年間の降雪量の平均値が、2010年と比べ、15%減少していた。

 

世界の状況 「世界で1番寒い都市」 アフガニスタン 北朝鮮

 

・世界で1番寒い都市  ヤクーツク

 
 世界の状況はどうか。シベリア東部のロシア・サハ共和国のヤクーツクは、「世界一寒い都市」といわれるが、19日、-62℃を観測した。

  サハ共和国は、ロシア東部に位置し、日本からは直線距離でおよそ3000キロ。人口およそ98万人、面積は日本の8倍ほどあるが、そのほとんどが永久凍土に覆われている。

 「マフラーをしないで歩いたら、10分で凍傷になる」

(8)

 という。

・アフガニスタン

 

 アフガニスタンでは、記録的な寒波により、各地で体調を崩すなどして死亡した人が相次ぎ、子どもを含む100人以上が亡くなった(9)。

 現地では、深刻な食料不足にも直面しており、食料や農業への支援など緊急的な人道支援が求められている。現地は、過去10年で最も寒い冬となった。首都カブールでも-20℃を観測。

・北朝鮮

 

 北朝鮮の朝鮮中央テレビは24日、強力な寒気の襲来により、朝の平壌の最低気温は平年より9度低い-19度まで下がったと報じた。さらに23日夜には、北部の白頭山では-40度まで下がるとの予報を発表していた。


(1) CNN「東アジアで極度の寒波が猛威、これが「新たな標準」と専門家」Yahoo!ニュース、2023年1月26日、https://news.yahoo.co.jp/articles/380f90e109bb5988b1f2e3dbf3108aafa1541282

(2)CNN、2023年1月26日

(3)CNN、2023年1月26日

(4)CNN、2023年1月26日

(5)CNN、2023年1月26日

(6) 国土交通省 気象庁「エルニーニョ/ラニーニャ現象とは」https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/learning/faq/whatiselnino.html

(7) 読売新聞オンライン「今季最強寒波、「ラニーニャ現象」が一因か…偏西風蛇行で寒気流入しやすい状況に」2023年1月25日、https://www.yomiuri.co.jp/science/20230125-OYT1T50089/

(8)「グッド!モーニング」2023年1月24日放送分より「【独自】“世界一寒い都市”ヤクーツク -62℃記録 マフラーしないと「10分で凍傷」」https://www.khb-tv.co.jp/news/14822310

(9)NHK NEWS WEB「アフガニスタン 記録的寒波で100人超死亡 首都カブールで-20度」2023年1月28日、https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230128/k10013963511000.html

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