ファイヤートーチ経験者が語る、当事者たちの廃止論
みなさんは現在炎上中の(いろんな意味でね)ファイヤートーチをご存知でしょうか?
金属や木の棒の先端に灯油を染み込ませたタオルをくくりつけ、演舞をする出し物するものです。
別名「火の舞」とも言われています。
愛知県では定番の出し物で、ぼくも小学五年生の時に体験しました。
地元テレビ局の調査によると、名古屋市立の小中学校20校のうち、小学校では10校、中学校では全20校がこのファイヤートーチを取り入れていたそうです。
この愛知県民なら誰しもが体験したファイヤートーチがなぜいま話題になったかというと、
7月26日に愛知県内の小学校で、ファイヤートーチの練習中に炎が男子生徒の服へと引火するという事故が起こり、右腕を大火傷してしまったことが原因です。
それだけでも十分な事故ですが、それ以外に
・担当の教員が「罰があたった」「自業自得だ」と言った暴言を発言した
・名古屋市の教育委員会に報告を怠った
・マニュアルでは綿100%の服を着るように指導されているが、確認をしていなかった
この3点が原因でより騒動を大きくさせてしまいました。
しかし、ここまでは騒動の発端にしか過ぎず、現在ネットを中心としたファイヤートーチ廃止論まで騒動は発端しています。
そして、ファイヤートーチ経験者である僕も廃止という意見に賛成です。
その理由を様々な立場を踏まえてお話ししていきます。
ファイヤートーチに圧迫される学校
そもそもこのファイヤートーチはほとんど愛知県でしか取り入れられておらず、近隣の三重県岐阜県ですら行なっておりません。
それ自体は地域柄もあって良いのですが、問題は県外から愛知県に赴任してきた教員が何の知識もなく指導しなければいけないことです。
希望者には新任研修の際に練習できるそうですが、いざ指導するとなった時に、担当教員は改めて練習する必要があります。
新任の教員がファイヤートーチを練習するためには、ベテランの教員に指導を仰ぐ必要があります。
その準備や片付けも就業時間内に行わなければいけません。
やっとの思いで習得できても、次は子どもたちへの講習や練習の時間も確保する必要があります。
そんな膨大な時間をかけてやっと当日の5~10分の演舞へとつながるのです。
現在世界で一番働いている先生方に、たった数分の感動のためにここまで働かせて良いものでしょうか?
そんなに感動を求めるなら自腹で線香花火でも寄付してやってください。
元当事者として廃止論を唱えます
ぼくは愛知県内の小学校に通学しており、小学校5年生の時にファイヤートーチの経験をしました。
経験がある。と言っても候補者を選定するために一度だけ回しただけで、この代物を扱うには危険が大きすぎると当時から感じていました。
よく勘違いされるのですが、多くの学校ではファイヤートーチの参加は任意で、15名〜30名程度しか演舞を行う生徒はいません。
(もちろん教員や生徒の数やキャンプ場の広さによって上下します)
しかし、いくら任意といってもいくつかの認識を整理しなければいけません。
というのも、友人間でただひとり不参加でいるとかなりの疎外感が生まれるからです。
多くの友達がお昼の休憩中(愛知県ではハッピータイムと呼ぶところが多いんですよ)に練習をしている中、仲間外れになったり
何より炎から逃げたダサいやつというレッテルを仲間内でつけられます。
そのレッテル付けは家庭内でも存在し、
「お兄ちゃんやお姉ちゃんは参加したのにねぇ」「◯◯くんは参加するそうだけど、あなたは?」
と言った感動の押し付けに合います。
ファイヤートーチに心から参加したい生徒もいるでしょうが、その裏側にはクラス内のカーストや保護者からの期待を裏切りたくないといった理由も存在します。
ファイヤートーチは廃止しよう
ファイヤートーチを取り入れる理由として「炎の美しさと危険を学んでほしい」と宣言している学校もありますが、ファイヤートーチでそんなこと学べるのでしょうか?
参加者や見学者にとって、ただの出し物にそこまでの意義を見つけるほど現代の子どもたちは考察めいていません。
何より、親元を離れて同級生とキャンプ、街の灯りのない暗闇に囲まれた夜、炎を自由自在に操る友人たち。
これだけの条件を整えれば多くの生徒はハイなテンションになり、一種の興奮状態に陥るでしょう。
そんな状況下でファイヤートーチを実演すること自体が危険です。
子どもたちに危険性を学ばせるには、絶対に安全と言える状況下でのみ体験させるべきです。
例を上げるのなら、地震の危険を学んでもらうために、専門の機関と被災者にお越しいただき、実際の被害のお話を聞いたり、起震車で体験すると言った手法が理想的でしょう。
以上の理由からファイヤートーチを廃止すべきだとお話しましたが、実際に廃止にしようとすると「今までやっていたのにおかしい!」「LEDじゃ味気ないよ」といった批判が来ます。
基本的に傍観者というのは目に見えない教育的効果より目に見える感動を求めてしまうので仕方がないのですが、実際に事故の起きた今しか改革の余地はないです。
先生方の負担。何より子どもたちの未来を守るためにも、この危険な伝統に終止符を打ちましょう。
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あとがき
毎回、記事の最後に超絶面白いあとがきを書いています。
今回は記事の途中に線香花火というワードを入れたので、線香花火にまつわる小噺をひとつ。
みなさんは線香花火というとどのようなシチュエーションを思い浮かべますか?
川辺のほとり。君と二人で線香花火。
そんなエモーショナルな場面が思い浮かぶでしょうが、ぼくの場合は少し違います。
だいたい線香花火で最後まで残った人が勝ち。という賭け事をしています。
お金はかけていません。
男どうしなら、帰り道ジュースをおごる。後片付けといった、くだらない内容ですが、
男女混合になった瞬間、そこは戦場になります。
忘れもしない大学2年の夏。
大学の有志で岩手に研究旅行に行きました。
最終日の夜。大きな公園に繰り出し、全員で花火大会をしました。
当時僕はちょっと好きだった佐藤さん(ほんとは大好きやった)の近くで花火を楽しんでおり、火がなくなるたびに「佐藤さん火もらっていい?」といって花火同士の間接キスを楽しんでおりました。
そんなかんなで花火を楽しみつつ、いよいよ残るは線香花火だけになりました。
宿泊所から少し離れていた公園だったので、線香花火が最後まで残った男女1組で帰る罰ゲームをすることになります。
まずは女子チーム。
総勢6名で戦った結果。なんと佐藤さんが居残り組に選ばれました!
いよいよ負けてられません。
男子チームは僕を合わせて7人。普通にしてたらあまりにも勝機が薄すぎます。
そこで、なんとわたくしは火をつける係に立候補したのです!
そして始まるサバイバル。周囲とは10秒程度のハンデがあります。
一人抜け、二人抜け、、
残るは、、僕ともう一人!
さぁ残れ!頑張れ線香花火!!
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現実とはなんと残酷なものか、、
結果は準優勝、、
佐藤さんを残し、僕は宿舎へと戻りました。
帰路はだいたい20分ほどあります。
男女が仲良くなるには十分な時間です。
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まぁ、勝ち残ったのが68歳の教授(既婚)だったので特に不安もなく、佐藤さんはジェンダー問題に少し詳しくなって帰ってきたとさ。
ズルしてもいいことは起きないもんですね。
おしまい。
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