認知症のお爺さんと娘思いのお父さん
ある寒い夜。
私と1匹は、散歩が終わり、自宅に帰る途中「よいしょ、よいしょ」と、コートも着ずに、O脚になった足を痛そうに引きずりながら、一歩一歩前に進んでいるお爺さんと出会った。
「すいません。〇〇駅はどちらですか?」
お爺さんに問いかけられ、私は道を指さしてゆっくり道順を伝えた。
「あー。有り難うございました。行ってみます。」
お爺さんは、そう言ってまた、一歩一歩歩み始めた。
私は、会釈して、通り過ぎ、家の前に着いた時、ふとそのお爺さんが気になった。
この寒空の下、コートも