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【映画感想5】羅小黒戦記(2019年、MTJJ)

中国発のアニメ映画ということで中国語で鑑賞しました。
思ったより絵が綺麗だったのと声優が上手だったので中国のキャッチアップ能力の高さを感じました。
ストーリーは、人類の自然破壊により住処を奪われた妖精が人間に復讐しようとし、その鍵を握るちびっこ妖精の小黒(シャオヘイ)が葛藤する、というもので、数十年前に日本が直面した課題に現代中国が今まさに直面していることを伺わせます。
物語自体は単純な二項対立であることと、キャラクター達もいわゆる完璧型(シャオヘイは完璧ではありませんが天才型)で、その点でもまだこのアニメはプリミティブな表現の段階にいると言えるでしょう(例えば、千と千尋の千尋が冒頭いかにぐずぐずした人間か、そして映画の扱うテーマがいかに複雑かを考えていただければと思います)。
後はすごい面白そうなキャラが終盤でやっと登場するなど、色々な意味で未熟さを感じさせる部分は多くありましたが、まずこれだけの作品が中国から出てきたということを評価したいと思います。未熟さは可能性の裏返しでもあり、中国アニメが日本の関係者の想像を超えた方向に、想像を超えた速度で発展する未来もあるかもしれません。もしそうなればそれは、日本がほぼ独占してきたアニメ表現という芸術の分野に多様性が生まれるという点で望ましいことでもある一方で、日本の関係者にとっては将来の厳しい競争も示唆しているのかもしれません。僕自身は日本の未来を案じつつも、中国人が中国の課題に対する中国の答えを突き詰める場にアニメがなってくれることを願います。


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