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いてら堂 小説の棚

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湖嶋いてらの感覚や妄想から成る小説が並んでいます。
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2021年11月の記事一覧

オレンジ色の光 #月刊撚り糸

押し殺したような笑い声。悪戯にこじ開けられた穴々に浮かぶ黒目。3歳や6歳や8歳がごろつくこの家で、薄っぺらい障子がどれだけの抑止力を持つというのだろう。

「くそっ」

腹底からの衝動に突き動かされるように椅子から立ち上がり、その辺に落ちていたパーカーをひっ掴む。綻びから山吹色のスポンジが飛び出た椅子が、ギッコ、と調子の狂ったような声を上げた。体中にまとわりつく視線を蹴散らすように乱暴に歩く。チビ

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