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湖嶋いてら
2021年10月7日 12:19
10月だというのに、毎日暑い。うだるような暑さを何ヶ月も引きずり続け、木々もあぜ道もどろどろに溶けて無くなりそうだ。汗が滑り落ちるうなじに、切り揃えた黒髪が貼り付いている。去年の今頃は、もう涼しかったのに。私は16になったあの日を思い出した。日曜日だった。糸のような雨と雨の間を、ひんやりとした風が通り抜けていく。藍色に冷水をたっぷりと注ぎ込んだような曖昧な色の空だった。次の日の3時間目