現代人が『聖戦士ダンバイン』を観るよぉ ②
みなさん、異世界転生してますか~~~~~~?
この記事は「聖戦士ダンバイン」を観た筆者が皆さんにテキストでできる限りその良さを伝えていこうという試みです。
ダンバインは1983年2月から1984年1月まで放送されていた日本サンライズ(現:バンダイナムコフィルムワークス)のアニメ作品です。このサブスクの時代に、古典を楽しむように昔のアニメを味わっていきましょう!
第六話 月の森の惨劇
バイストン・ウェルには昼と夜の区別はあるが、太陽と月はない。天空にあるのは天の水界と呼ばれる妖精達の領域だ。月に見えるものも月ではなく、空の海に住む発光生物の集合である。
ゼラーナへの補給物資を荷馬車で運ぶロムン・ギブンだが、ドレイク兵達に襲撃を受け、追撃を撒くために迷路の森へ入る。しかしその先にあるまともな地域は月の森だけだ。行き先がばれ、ガロウ・ランにバーン・バニングスへ報告されてしまった。
ガロウ・ランというガンダムXで主人公を張ってそうな名前の種族は異世界を構成する人間種の一つで、見かけはやや醜悪な個体が多いがとんでもなく足が早い。
おそらく早馬よりも足が早く、伝令や偵察に向くが、バーンは「あれしか能のない連中だ」と評している。
「金に忠義を尽くす」とも言われており、ドレイク勢にもゼラーナ勢にもどちらにも居る。
後にゼラーナクルーとなるロムンの先行隊ドルプル・ギロンがホン・ワンと共に月の森で待機するゼラーナと合流するも、本隊であるロムンがドレイク兵に追われている事を知り、ショウは先述の小型飛行機械にヤバい威力の銃を下げて救援に向かう。
ロムンの物資は第一話と第二話で落とされた緑ダンバインと紺ダンバインを鹵獲してバラしたパーツだ。ショウのダンバインを強化できるし、消耗品は交換できて継戦能力が一気に上がる。これを逃す手はない。
追っ手の一陣目を蹴散らしたショウはロムンに聖戦士としてドレイクから離反した事を告げ(前回ショウとロムンが出会ったのはバーンと共に小競り合いの追求に来た時だったため)
トッド達がオーラマシンで出てくると見て一旦ゼラーナへ帰還する。
だがタイミングの悪い事にショウが離れた合間にトッドとガラリアがロムンの荷馬車に追いついてしまい、ガラリアのバラウにロムンを人質に取られてしまう。
「ドレイク軍の機械は一騎でも少なくせねばならんのだ!私ごとウィングキャリバーを撃てショウくん!!」
気丈に吠えるロムンと、迷いがオーラ力に現れているのかとてもガラリアを討てないショウ。そこにドラムロのモニター損傷のせいで精密射撃がおぼつかないドラムロがダンバインを撃ち落とすためバルカンの乱射を見舞ってきた。
当てずっぽうの弾丸は運悪くロムンを捕らえているキャリバーのアームを破壊、ロムンは月の森へ墜落していく。
ショウは怒りに任せドラムロをめった斬りに撃破するが、トッドにはすんでの所で逃げられてしまった。
「オーラバトラーが俺の生体エネルギーで操られるっていうのなら、俺の力さえ充分に発揮できていればこんな事にはならなかったんだ」
空中でロムンをキャッチ出来なかった事を悔やむショウ。第四話でバーンがリムルを川に落ちる寸前で受け止めた神業との対比を感じるが、
ラース・ワウを脱出してからの連続戦闘、ダンバインの完全とはいかない整備、そして二対一の戦いでそこまで求めるのは酷というものだろう。
マーベルのオーラマシン、ダーナ・オシーが大破中の今、ゼラーナには圧倒的に戦力が足りなかった。
第七話 開戦前夜
「バイストン・ウェルの物語を覚えているものは幸福である。私達はその記憶を記されて地上に生まれてきたにも関わらず、思い出す事のできないサガを持たされたから──」
知っている人にはお馴染みの、ダンバインを知らなくても何となく聞いた事があるフレーズはこの第七話のオープニングが初出だ。覚えてネットミームに強くなろう。
前回ロムン・ギブンを討ったガラリアはドレイクから奇妙な通達を受けた。
『お前はロムンの荷物からミの国とロムンが共謀し、ドレイク領もあるアの国へ侵攻しようという手紙を発見した。間違いないな。』
鳩が豆鉄砲を食らったようになってしまったガラリアだが、アの国王、フラオン・エルフへこの捏造した証拠を上奏すれば同胞ロムン・ギブンを討った事は正統、
その裏にあるとされる企みを一掃するため軍を動かす大義名分を得る事ができる。
フラオン・エルフは暗君であるがゆえ、簡単に騙せるという算段だ。これがドレイクのやり方かーーーー!!!
軍備増強のため兵を募集するドレイクだが、これを好機と視聴者からはバレバレの格好に変装したニー・ギブンは新兵としてラース・ワウに単身潜入、
嵐の日に紛れて領主たちの居住区画に入り込み、そこでキーンの父であり、ギブン家の配下キブツ・キッスとの偶然の再開という幸運も手伝いリムルを連れ出す事に成功する。
一方ダンバインでバックアップに入っているショウは、ニーがリムルのための個人的感情で戦いに身を投じているような素振りや、そんなニーをマーベルやキーンも男性として好意的に見ている所がおもしろくないでいた。本当にあの変な髪型のどこがいいんだよ?
脱出しようとしたもののバーンに見抜かれており、馬に辿りつく寸前でリムルと引き剥がされてしまったニーだが、城内を掻き回していたドサクサでドラムロを奪う事に成功する。
一転、逃走に絶好のチャンスとなったが、ドレイクが寝所から様子を伺っている姿を見つけるとギブン家や父親に汚名を着せ、戦争を企む事に怒りを隠せず怒号を上げてしまう。
今まさにニーがドレイクへドラムロの銃口を向けようとしたこの隙に、
バーンはこの話数の冒頭で開発されていたビラン・ビーに乗りニーをここで討たんと踊りかかった。
せっかくマシンを奪ったもののバイストンウェル人であるニーはオーラマシンの才能が低く、相手は新型機。まさに泣きっ面に蜂といった状況だ。
ギリギリのところでショウ達の救援が間に合うが、ラース・ワウ上空でダンバイン、ダーナオシー、ドラムロ、ビランビー、そして急遽トッドもドラムロで増援に駆けつけオーラマシン5騎による思いもよらぬ大殺陣に発展。
この乱戦の中マーベルとニーが中破、(ニーが破壊されたマシンは当然ドレイク軍のもの)敗走を余儀なくされるのであった。
第八話 再びラース・ワウ
ショット・ウェポンと同時期に召喚されたという地上人機械士ゼット・ライトに
ビラン・ビーの突然の起動実験となった前夜の大立ち回りから得られたフィードバックを告げるバーン。
このゼット・ライトという男、設定上も視聴者からも影が薄く、説明されなければ地上人だと分からないレベルだ。
そしてアの国王の元から帰還したガラリアから出兵のお墨付きである書状を受け取るドレイク。新型オーラマシンに加えて世界征服の第一段階の駒が敵の手に揃ってしまった。
ラース・ワウを離れ、ドレイクに侵攻されようとしている『ミ』の国にゼラーナで力を貸しに行く理由をショウに語るニー。
「俺はリムルを諦めた。これからは大義のために戦う!」
だが地上帰還にこだわるショウはリムルやシルキーマウを助けずにラース・ワウを去るべきではないと単身救助に向かうためマーベルやニーとケンカ別れのようにしてゼラーナを降りてしまった。
降り立った村で偶然情報収集していたホンワンとドレイク軍の機械化部隊、戦艦と飛行円盤機械「ドロ」数機が多数出撃していくのを認めると、本陣が手薄になっているとみて自分の思うように事が運んでいるとラース・ワウへ急行するショウ。
ちなみに「ドロ」はドレイク陣営のコモン兵が主に操縦しオーラマシンより一回りほど小さい戦闘機だが、ピンチになるとガラリアなど指揮官がその機上にむき出しで立ち声出し指令を行うという頭のおかしい機械だ。
ホンワンとマーベルの説得により、アスペンケードでラース・ワウをかき回すショウに追いついたニー達はやはり火力の薄い敵陣中庭へ大胆にも戦艦を強行着陸。
うまくリムルを屋敷外へ連れ出す事に成功するが、シルキー・マウも同時に助ける両得を狙ったのがミスで、
ドレイクの妻であるルーザ・ルフトに娘であるリムルのそばへ近づかれてしまった。
「聖戦士どの、シルキー・マウを水牢へ戻しなさい。さもないとリムルを殺します!」
リムルの首へナイフを突きつけダンバインを脅すルーザ。親が子を殺すなどという事が本当にできるのか。人がたった一人で言葉を弄しオーラバトラーを押し返すつもりなのか。
この恐るべき胆力にやむなくシルキーを戻し、ニー達に撤退指示を出すショウ。
ショウ達が撤退した後、本当に自分を刺すつもりだったのか母に尋ねるリムル。そんな訳はないと取り繕うルーザだが、この女傑ならショウが引かなければきっとやってのけただろう。
ちなみにここを観た時、仲間がどうしても助けられなかったヒロインを主人公が颯爽と救い出す話なのかと思ったら敗走して本当にびっくりした。
ここまで負けに負け続けてるし一発スカッとさせてくれるのかと思ったんだけど昔のアニメの展開は読めませんね。
でもリムルはショウになびいてる様子もなかったし、ここはやむを得ないかもな。
第九話 天と地と
機械化兵団の世界征服はバイストン・ウェル全土の危機。そこで数々の不思議な力を持つ妖精種の力を借りるため、空にあるという海──天の水界へ赴くゼラーナ。
フェラリオの中には神のごとき力を持つものもいるらしい。そうそうファンタジーはそういうのが欲しいんだよ。
境界である嵐の壁を抜け、チャムと同じミ・フェラリオ達が暮らす楽園区域で道を尋ねると『天の壁』に向かって伸びるガラの山を行く必要がある事が分かった。
人間に『天の壁』を越えられる訳がないと怯えるチャム。前庭である楽園区域はいかにも天国といった雰囲気で人間でも住んでいけそうだったが、下級妖精と上級妖精の間にはかなり大きい隔たりがあるようだ。
ガラの山から天に突っ込んだ先の「水圧」に苦しむゼラーナクルー達だが、戦艦やダンバインなどの機械はバイストンウェルとは違う理で作られたもの。ここに突破口はあるとここまでの戦いでオーラ力の上がったショウのダンバインを先頭に強力な推進を行うとついに天の水界の底を突き抜けた!そこはまさに『海底』としか言いようのない所だった。
妖精達の長、ジャコバ・アオンというおばちゃんとの話し合いにはこぎ着けたショウ達。
何とか譲歩を引き出そうとするショウ達だが取りつく島もなく、魂の循環と修練を助けるフェラリオの世界こそバイストンウェルの本質を担うものであり、下等な人間の世界など何の関わりもないとジャコバが放つ嵐の神通力で押し返されてしまう。
ジャコバは上級妖精よりさらに上のチ・フェラリオだ。格が違う。
だが人間の世界へ押し流され境界である嵐の壁を越える最中、時空を越えたのかマーベルの故郷であるアメリカ・ダラス市街の上空を通過するゼラーナ。
バイストンウェルとショウ達の世界は繋がっている。明らかにオーラの力は二つの世界を越える鍵だ。ショット・ウェポンにオーラを利用する機械の改良を続けさせたとしたら、いずれは必ずショウ達の世界への侵攻を開始するだろう。バイストンウェルの戦争を止めるという事はショウ達の世界への戦争も止めるという事だ。
コモンの世界に着くととある街を機械化兵団がそこを攻撃している真っ最中であった。
自分達の目標のためにはとにかく目の前の虐殺を止めねばとショウとマーベルは出撃。敵部隊はミの国攻略の後発部隊で、これに付いていたトッドとガラリアと交戦することになった。
天の水界でゼラーナをオーラ力で「押し」たショウは全力疾走した後のようなかなりの消耗をしていたが、マーベルの操る飛行機械との連携でトッドのドラムロを難なく撃退。
対するトッド・ガラリアコンビは功を焦るガラリアの突出が仇となり連携は最悪。なんとかバーンの待つ機動戦艦へ辿り着いたトッドはガラリアへ釘を刺し、またダンバインを討つためのドラムロを超えた新機体の下賜をバーンへ要求するのだった。
第十話 父と子
前回のダンバインとの無様な戦いを軍会議でバーンにたしなめられるガラリア・ニャムヒー。女と舐められる事が不服と功を焦り、敵と見れば打って出てしまうガラリア。
だが騎士の一門でありオーラマシンの才能を持つ事はバーンに次ぐ機械化兵団の上澄みに到達しうる資質だ。
ドレイク軍も今現在で配り切れるオーラマシンが足りないだけでガラリアを捨ておく道理はない。トッド達のバーンへの進言で敵城攻略まで処分は預かりとなる。
レッドバーンの湖砦ではキーンの父である、キブツ・キッスというちょっと名乗るにはキツい名前のおじさんがミの国の軍勢と戦っていた。
湖砦はミの国最大の要衝であり、やや苦戦している風はあるものの、ドレイク軍はショット・ウェポン謹製の飛行機械ドロ部隊。
キブツの指揮するそれはオーラマシンほどの強さはないが、それでも中世ヨーロッパレベルのバイストンウェルでは圧倒的戦力だ。義のない戦いをしたくないキブツの思惑とは裏腹に湖砦の戦力は削られ、やがては落ちる。
拠点へと戻り、お家が取り潰しにならない程度のとりあえずの戦いはできたと側近達に零すキブツ。だがそこに隠密潜入してきたショウ、キーン、ホンワン(&チャム)が現れる。
キブツの軍が通った後のドレイク兵による虐殺・略奪を目の当たりにしたキーンは激しく責め立てる。だが軍人の家系であるキブツは家を守るためと一喝。
大人の社会を理解しきらぬキーンはいたたまれなくなるが、突き放す言葉の中にキーンを想う、懇願するような気持ちを受け取ったショウは仲間と共にキブツの陣営を去るのだった。
ドレイク軍野営地を離れた後、ピネガン・ハンムという人物に協力を取り付けるためウォーターアップへ向かうゼラーナ勢だが、キブツ・キッスとショウ達が接触した事に気付いたバーンはこれをキブツに討たせる卑劣な策を立案する。
部下もろともドレイク軍に組み込まれているキブツはその部下の家族のことまでを思うとやむなしと、娘であるキーンも共に討つためドロ三機でゼラーナへ攻撃をかけた。
火力こそダンバインに肉薄できるドロだが、オーラ力の上がっているショウにはほぼ歯が立たない。そこに何とか喰らいつくキブツだか、戦いを止めさせるために小型飛行機械で近づくキーンがドロの射線に入ってしまった。
反射的にショウはキーンを庇い、そして放ったオーラショットはキブツのドロを撃墜してしまう。空中で投げ出されたその体は地上へ真っ逆さまに落ちていき、爆発炎上した機体に巻き込まれていった。
「ショウが悪いんじゃない。あたしが愛していたのは間違ったりはねっ返ったりした時に叱ってくれる父だったのよ。それをただ、家だけのために恩義を忘れた父なんて」
いやドロの設計が悪いんじゃないか?
子を愛さぬ親がいないように親を愛さぬ子もまたいない。涙を流し吐き出すように語るキーンのとても本心とは思えないその言葉に、キブツを撃ったショウは何も言う事ができなかった。
・(おまけ)名前が聞き取れない
音声に関してはリマスターであっても40年前のアニメのそれには限界があるし、筆者の視聴している環境のせいもあるのでここはお遊び程度として聞いていただきたい。
ダンバインはアの国とかミの国とか「国の名前が覚えづらい」という事でお馴染みらしいのだが、詳しい予備知識なしで見始めた私はキャラクターの名前が特に入ってこなかったものが多かったので
ここにダンバイン名前聞き取れない三銃士として特に分かりにくかったもの達を上げてイジッていきたい。