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困難で不便の中に人道がある

今日の言葉

二宮翁夜話より引用

57) 人道は人の立場で作為する
翁のことばに、世の中で、役に立つ材木はみんな四角だ。けれども天は、人のために四角な木をはやさない。だから満天下の山林に四角な木はない。また、皮もなく骨もなく、かまほこかはんぺんのような魚があれば、人のために便利だろうけれども、天はこのようなものを生じないから、漫々たる大海にこのような魚は一ぴきもいないのだ。また、もみがらもぬかもない白米のような米があれば、人生にこの上もない利益だろうが、天はこれを生じないから、全国の田地に、一粒もこのような米はない。こういうことから、天道と人道と異なるという道理を悟るがよい。 また、かぼちゃを植えれば必ずつるがあり、米を作れば必ずわらがあるというのも、やはり自然の道理だ。いったいぬかと米とは一身同体なのだ。肉と骨とも同じことで、肉の多い用は骨も大きい。それなのにぬかや骨をきらって、米や肉だけほしがるのは、人の私心なのたから、天に対しては申しわけがないといわねばならぬ。けれども、今まで食った飯も購えれば食うことのできぬ人体なのだから、しかたがない。よくよくこの道理をわきまえるがよい。この道理をはっきりわきまえないと、わが道は了解することもむずかしければ、行うことも難しいのだ。

【引用 二宮翁夜話(上) 福住正兄:原著 佐々井典比古:訳注】

困難で不便の中に人道がある

もし世の中が人間の思う通りにできていたら、どのようになるでしょうか。

すべてが願う通りになり、何もせずとも食事が提供され、住まいに困ることもありません。

自分が考えた通りに物事が現実化し、お金も必要としない。

もし各人が自由に生活できるとしたら、人間は何をするでしょうか。

すべてが思う通りになれば、人間は考えることをやめ、創造的な活動もしなくなるでしょう。

しかし、人間が何も創造しなくなると、宇宙にとって人間は不要な存在になるかもしれません。

自然界は、人間にとってすべてが困難で不便に作られています。

米を食べるためには6ヶ月間育てる必要があり、家を建てるには材料を準備しなければなりません。

社会で生きるためには仕事をしてお金を得る必要があり、人間関係は常に調整が必要です。

生きることは、困難や不便を乗り越えて生活することです。

困難や不便さがあるからこそ、人間は試行錯誤して、便利で豊かな生活を創り出します。それが人道だと思います。

マイナスからプラスを試行錯誤しながら生み出すのが人道。

そういう仕組みで宇宙は成り立っていると思います。


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