恵まれた環境の子供は「まぐそ茸」に育つ
今日の言葉
二宮翁夜話より引用
恵まれた環境の子供は「まぐそ茸」に育つ
マグソタケ(馬糞茸)は、馬糞や堆肥など養分の豊富な場所に生えるキノコです。
幻覚性のある化合物を含むため、食すると幻覚症状を引き起こすといわれています。
二宮金次郎は「富家の子弟が推譲の道を踏まないかぎり、千万百万の金があっても、まぐそ茸と変わりはない」と述べています。
現在、日本の国会議員の約3分の1が世襲政治家だと言われています。
親が政治家であることを理由に、子どもが自動的に政治家になることには問題があります。
なぜなら、恵まれた環境で育つ子は「まぐそ茸」のようになりやすいからです。
政治家の子弟に限らず、恵まれた環境で育ち、将来の進路が既に定まっている子供たちは、一見恵まれているように見えます。
しかし、自らの意思で社会を広く学ぶ機会を失い、自由に未来を思い描くことや他者への共感を育むことが難しくなる可能性があります。
他者への思いやりがなければ、推譲の道は歩めません。
さらに、全てが整った環境で生まれ育った子供は、現状を失うことを極端に恐れ、現状維持に固執し、自己の地位を守ることに執着しがちです。
その結果、社会の変化に適応できず、最終的には衰退する恐れがあります。
恵まれた環境にある家庭でも、その環境をそのまま子どもに与えるのではなく、恵まれているからこそ他者に譲る精神(推譲)を教えることが重要です。
二宮金次郎の時代から現代に至るまで、人間の本質は変わっていないように思われます。
二宮金次郎の夜話176段「推譲を知らぬ富者はまぐそ茸」を読んで、そう感じました。
今後の予定
今日まで、二宮金次郎の夜話を読み感じたことを綴ってきました。
明日からは「イソップ寓話」を読んで感じたことを書いていきます。