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他人に「いいこと」する前に理解しておくこと
今日の言葉
菜根譚より引用
前段90)報酬を求めない 自分の身を犠牲にして人のためにすることは、ためらうことなく実行すべきである。少しでもためらっていては、献身的にしようとした心持に対して誠にはじいることが多い。人に 恩恵を施しても、それに対する報酬を求めるようなことがあってはならない。もしもその報 酬を求めるような心があれば、恩恵を施した慈悲の心までが、共に利己的になってむだにな ってしまう。
他人に「いいこと」する前に理解しておくこと
例えば、あなたが電車内で座っているとき、近くにご老人がいることに気づいて「どうぞ」と席を譲ったとします。
そのとき、老人が「ありがとう」の一言もなく座ったら、あなたはどのような気持ちになるでしょうか。
おそらく「せっかく譲ったのに、お礼の一つもないなんて。譲らなければよかった」と思うかもしれません。
確かに、席を譲った以上、「ありがとう」の一言くらいは欲しいものです。
しかし、私たちが「ありがとう」を求めてしまうのは、席を譲るという行為に報酬を期待しているからかもしれません。
ご老人を見て「席を譲ろう」と思った気持ちは、あなたの純粋な「心」から生まれたもので、老人の反応とは本来無関係なのです。
大切なのは「席を譲る」というあなたの心遣いであって、老人からの「ありがとう」ではありません。
このことを心に留めておけば、老人に席を譲ったときに「ありがとう」がなくても、自分の純粋な気持ちを保つことができます。
一見些細な心構えかもしれませんが、他人に「いいこと」をするときにこそ、この考え方を理解しておくことが大切だと思います。
菜根譚前段「報酬を求めない」を読んで、そう感じました。
オススメの本
※ブログで紹介した久須本文雄著の『菜根譚』は絶版のため、岩波文庫の菜根譚のリンクとなります。