天理と人欲
今日の言葉
菜根譚より引用
天理と人欲
高層ビルの最上階から景色を眺めたとき「いい眺め」と感じることはあっても、心が真に解放されることは少ないものです。
一方、山頂に立って周囲の景色を眺めると、ふっと心が軽くなる瞬間があります。
高層ビルの最上階と山の頂上—この二つの違いは何でしょうか。
まず、頂上に至るまでのプロセスが異なります。
エレベーターで最上階に行くのと、自らの足で頂に立つのでは、得られる達成感が全く違うのです。
次に空気感の違いがあります。
ビルの人工的に調整された空気に比べ、自然の空気や風の流れは格別な心地よさがあります。
そして、どれほど建築技術が発達しても、自然の美しさには及びません。
これら3つの要素が、同じ「頂上」でも心の解放感に違いをもたらすのだと思います。
このように考えると、天理の流れに身と心を合わせ方が、心は解放感を味わえます。
一方、人欲の流れに身と心を合わせると、心は小さく縮まっていき、その結果としてぬかるみにハマることがあるのだと思います。
天理は時として自然災害ももたらすので、全てを天理の流れに任せることはできません。
しかし、人欲の流れに疲れたときこそ、天理に身と心を委ねることも必要なのではないでしょうか。
菜根譚前段「天理と人欲」を読んで、そう感じました。
オススメの本
※ブログで紹介した久須本文雄著の『菜根譚』は絶版のため、岩波文庫の菜根譚のリンクとなります。