兄を心配した幼心の話
皆さん、兄弟はいるだろうか?
私は8歳離れた兄が1人おり、今となっては楽しく近況報告でも出来るのだが、子供時代はというと喧嘩ばかり。
そんな子供時代の兄弟エピソードを話したい。
それは私が小学校低学年の頃、
うちの兄は大変やんちゃをしていた時期でもあり
父も血気盛んなカミナリ親父様だった。
そんなある日、兄がしでかしたことに父の怒りが爆発。
床にガラスも散乱するほど激しいものとなっており、
最終的に、兄は家の外に出され
「許すまで絶対家に入ってくるな!」と父がドア越しに怒鳴りつけ、家の鍵を閉めるのだった。
室内があまりにも悲惨な状態だったことと、兄が心配になり
「お兄ちゃんの様子みてくる!」とドアのカギを開け、庭にいる兄に駆け寄るのであった。
そう、これが人生で初めての「野次馬」である。
丁寧にも「兄の様子が心配だから」と言い訳をつけ、免罪符を手に入れようとするその精神。
人間の本能的な野次馬遺伝子は、小学校低学年ですら顕著に現れるようだ。
兄に駆け寄る瞬間、後ろでなにか音がした気もしたが、
そのまま泣きじゃくる兄を
「悪い事したならいっしょにあやまろっ」と諭すなど、そのまま外で話し込んでいた。
兄も次第に泣き止み、だいぶ落ち着いたようで、
一緒に家に入ろうとする兄弟。
玄関ドアに手を掛け開けようとするのだが、おかしい。。。
なぜだかドアが開かないのだ。
どうやら私が玄関のカギを開け、外に出た時の音は
父がカギを閉めた音だったようだ。
信じられない。。。
私はだた、兄の様子が心配で(野次馬として)外に見に行ったのに、どうしてこんなことになるのか。
父としてもただブチ切れていたわけでなく、次男坊がおこなった恥ずべき野次馬への代償を、学ばせたかったのかもしれない。
それから2時間後(22時頃)ようやく家に入ることができたのだが、
家から出された恨みは根深く、
仮に自分が家から出された場合はそのまま放浪してやると
居住可能なエリアを探し、避難マップ作成など行い、お小遣いも溜めていた。
ところが、兄と違い問題行動を殆ど起こさない真面目ちゃんだったため、
残念なことに家を出されることなく大人へなってしまったのである。
ふと父へ、ドライブ中にその当時の話をしたことがある。
どうやら兄を外に出したところまでは覚えているようだったが、
私を締め出したことを忘れていたようだ。
「お父さん、息子二人を締め出したこと忘れてるんだけど!」
と母に報告ついでで話していると、
「あ、それカギ閉めたの私よー」
と突然の自供を始めたのだった。
どうやら父の鞭でなく、母の愛だったようだ。
父もブチ切れた状態だったため、
室内よりも家の外の方が安全だと思い鍵を掛けたのだという。
現代では家の外に出す事など考えられないだろうが、当時の母の考えとしては正しい判断だったと思う。
まさか25年越しに真犯人が出てくるとは思うまい。
もし初めから知っていたら、
父にもっと優しく接することができたかもしれないと思う。