ホンモノとはなんじゃろか
好きなパンがありまして、黒コッペというフジパンの定番の商品です。
黒糖を混ぜ込んでるんだと思われる、茶色でふわっふわのコッペパンに、白いミルククリームが挟んである、なんのひねりもない商品です。だけどこういうパンが結局おいしい。「あ、黒コッペある」と見かけてしまったら、まあ75%くらいの割合で購入しちゃってる気がする。半分は超えている。見たら負け、「買っちゃうかあ~」って思って買っちゃうことの方が断然多い。
この黒糖の香りがホンモノなのかどうか、という話も考え出すとキリがない気がしますね。香料とか、着色料とかでね、なんかそういう雰囲気を醸し出していることに気付かないでね、ああ、黒糖っぽいふんわりした甘さウマーって食っちゃってるけど、黒糖とかすーごい少ない割合なのかもしれない。
いや、今日はそれじゃないんだ。
そういう美味しいパンを食べるときに、ついつい牛乳を選んでしまったり、コーヒー、またはカフェオレを選びがち。なんかねー、食べ合わせが最高でどうしようもなく誘われてしまって、また誘惑に負けてしまう。ああ、買っちゃったー、ウマい。あーあ。である。
いや、べつに後悔してるわけじゃないんだけど、いつもこのパターンで購入をしてしまっているなーと思ったりして。今日はその中でも、「今日はね、なんか濃い牛乳がね、飲みたいね、うん。濃いやつがね。」っていう日って誰しもあったりするのでしょうか。ぼくは今日がその日でした。
そんなわけでオハヨー乳業の「濃」を買ってみたのでした。そりゃもう、成分無調整どころかガッツリ調整してます。脂肪分3.6%とかが多い中で、4.4%ですよ、全然濃度が違う。人工的に水分を抜いてるんですって、丁寧にわざわざパッケージに書いてあるんでね。
そこで、そのパッケージに「ホンモノは、おいしい。」って書いてあったのが猛烈に気になったのです。え、ホンモノはおいしいってことで、この成分調整している牛乳は、無調整牛乳と比べると、調整してあるので、ホンモノとしてはどうでしょうか。ホンモノでしょうか。いや、おいしいですけど。
っていう葛藤が生まれて、「ホンモノは、おいしい。」ってなると、おいしいからと言ってホンモノだとも言い切れないけどね、それでもホンモノはおいしいってここに書くことにいくらか意味はあるんだよなと。調整した牛乳がホンモノじゃないってわけじゃないし、オハヨー乳業が出した調整牛乳とそれを模したニセモノがあったとして、これはホンモノのオハヨー乳業の調整牛乳なので自信もってます、おいしいです。ってこともいえる。
そうだ。囚われていたのだ。無調整がホンモノちゃうの?と思った僕が、調整牛乳と無調整牛乳の間に囚われてしまったのだ。それに気づいた。
だれも、誰かを囚われる意図など持ってなかったのに、僕は勝手に調整と無調整のあいだに囚われてしまって「むむ」って思ったのだ。そういうことってある。どうでもいいことに囚われてしまうことってある。
パンと牛乳の相性の良さがそれで揺らぐわけでもないのに、だ。