コンデジと私
生まれて初めてカメラを手にしたのは中学の時。星夜写真を撮りたいと言ったら父親が使っていた古い一眼レフを譲ってくれました。PENTAXの一眼レフで露出計がついているかなりマニアックなものでした。
ずっしりと重いそのカメラを壊さないように大切に抱えるように運び、夜空に向かって三脚で固定しレリーズでシャッターを解放し、頭上に広がる無限の星空と時間を切り取っていたのを覚えています。
機能について熱く語りながら私に譲ってくれた父親には申し訳ないけど、こんな大仰なものは要らないなぁ…とどこかで思っていて、星の写真や風景写真を撮る以外ではカメラが活躍する機会はありませんでした。写真を撮るのも撮られるのもそれほどしませんでした。
デジタルカメラが出るまでは。
1996年。Sonyから謂わゆるデジタルカメラの一号機であるCybershot DSC-F1が出ました。今では当たり前の液晶画面と自撮りができる180度回転カメラを装備した当時としては画期的なカメラでデザイン的にも美しかった(と言うか、なんとも可愛らしいデザインだった)ので即買いしたのを覚えています。
以来、Nikon COOLPIX 800、Canon IXY900iSとデジカメ黄金時代の人気機種に買い替えてました。
その後、スマートフォンのカメラ高性能化とミラーレス一眼の登場で、コンデジ(コンパクト・デジタルカメラ)のポジショニングがボヤけてしまい、今やデジカメ自体が斜陽になってきてしまっています。
それでも私はコンデジにはそれなりの良さがあり、デジタル一眼レフやスマホとは違う味わいと写真撮影の経験を提供するものだと思っています。
ポイントは3つ。撮りやすさ(手軽さ)、無音、明るさです。
先ず、撮りやすさ。
コンデジは一眼ほど大きく重くなく、片手でシャッターもズームを操作ができます。またスマートフォンと比べても、画面の中のシャッターボタンを押さないで良いので片手でのオペレーションが可能です。
これまでコンパクトカメラでの撮影に慣れているせいもあるでしょうけれど、起動後に何枚も続けて撮り続けることができるのは、コンデジの機動性ゆえだと思います。
次に無音で撮れること。
スマートフォンは日本ではシャッター音が鳴るようになっています。海外仕様(国外で買った場合)はマナーモードで無音で写真が撮れるのですが、盗撮防止のため日本ではその機能は使えません。
それでも、ワークショップでスクリーンやグループワークを撮影する時はバシャバシャと音を出して邪魔をしたくないので、無音で撮りたいものです。厳密にはコンデジも全くの無音とはなりませんが、パシャパシャと言う音ではないので、なんとかなります。
最後にスマートフォンよりも明るい写真が撮れることがあるのですが、こちらはスマートフォンがかなりキャッチアップしてきており、補正技術ですでに追い抜かれているところもあるのでなんとも言えません。
しかし、レンズの大きさが所詮は違うので、自然光を取り込む力はコンデジに軍配が上がります。あとは撮影技術ですね。
日常のほとんどのシチュエーションではメモ代わりやスナップはスマートフォンで用が足り、コンデジの出番はほとんど無くなってはきていますが、それでも持ち続ける理由は、私が撮りたいのが「人」だからでしょう。
私は、人の生き生きと変化してゆく表情を撮るのが大好きです。ワークショップが好きな理由の一つにもなっているかもしれません。新しい発見や学び、感動が表情を通じて伝わってきます。
講師側でも受講者側でも、輝く一瞬というのがあります。それを切り取って残すことができた時には、ヨッシャとガッツポーズを取りたくなります。
それを撮る上において、3つのコンデジのアドバンテージが効いてきます。
「輝く一瞬」などは狙って撮れるものではなく、何百枚も撮影する中でのほんの数枚出てくるか出てこないか、だからです。あ、と思った時にすぐにシャッターが切れること、これは必須条件です。片手にコンデジを持ったまま、いつでも片手で手軽に撮影できるのは、とても重要です。
何百枚も撮るもう一つの理由は、撮られる側がカメラを意識しなくなるまで撮るということでもあります。シャッター音もずっと聞いていると慣れてはきますが、カメラを意識していない自然な表情をしてもらうためにはシャッター音はしないに越したことはありません。
ワークショップは室内で行うことが多いため、照明の加減によってはスマホはセンサーによる補正がかかってしまい白被りをして画像が荒れたり、人物の顔が暗くなってしまったりします。しかしコンデジであれば、受け取っている光量のベースが違うので、照明からの距離や位置に関わらず明るく撮ることができます。
今私が使っているのは、CanonのPowershotG9X markIIです。
スマホがどんどん大型化していっているので、実はスマホよりも縦横の寸法が小さく、掌の中に収まるので扱いやすくて助かっています。
あと…なんとなく懐かしさと温かみを感じられるこのデザインがとても気に入っています。発売から3年経ったのでそろそろ後継機種が出てくるかもしれませんが、機能的にはこれで十分かなと思っています。
唯一惜しいなと思うのはジオタグをつける機能が内蔵されていないこと。スマートフォンと連携すればジオタグはつけられるのですが...コンデジでジオタグ付けられる機種があまりないこともあり、その辺りは何か理由があるのかな、と思います。
豊かな人の表情を撮影するという意味でワークショップは絶好の機会ですが、それ以外でも基本的に人の写真を撮るのは大好きです。もしも可能であれば、一日何人かの人を追いかけてその人達の瞬間瞬間の輝きを切り取り続けたい…
組織開発のワークショップなどではカメラマンをつけ、その人がずっと写真を撮っていて後で編集してクロージングの時に映し出すなんてことをやったりしますよね。
ワークショップ設計者として場にいる私は、設計がちゃんと機能するかを見届けるため写真を撮り続けることができないので、一度そういうことをやってみたいよなぁ…なんて思っています。(編集の才能は多分なさそうですが… ^_^;)
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