イタリアの電車の遅延とどう付き合うか?(下)
Vol.078
引き続き、イタリアの電車の遅延から受けた損害を取り戻すストーリー。
こういったやり取りを書くと長くなってしまう傾向をどうにかしないとと思いながら綴る。
ミラノチェントラーレ駅でまさかの展開
ミラノガリバルディ駅経由でチケットを購入していて、さらに遅れて乗れなかった電車もガリバルディ駅からだったが、そこからもうパルマ行きはないと判断し、ダメもとでミラノチェントラーレ駅へ。
こういう交渉はチケットセンターのBIGLIETTIと書かれている窓口へ行く。
イタリアを旅している人ならご存知かと思うが、主要駅のチケットセンターはとにかく並ぶ。そして進まない。
今はチケット発券がオートメーション化してきているので、並んでわざわざ買わなくてもいいが、それでもトラブルが多いイタリアの電車なので、常に並んでいる。
並んでいる時間はない。
パルマへ行かなければならないミッションがある私は、チケットセンターにはいったものの、念のため番号札は取ってはおいたが、カウンターを出てくるスタッフを見張った。
一人出てきた。
緊急事態であることを伝え、その事態は全てトレニタリアノの遅延によるものだと端的に冷静に伝えたら、
「このチケットを持って、すぐに駅ホーム内にあるフレッチャロッサの窓口へ行ってください」とのこと。
え? 直接フレッチャロッサの窓口に行ってもいいの???
この初めての返答に、とにかく藁をも掴む気持ちで行くことにした。
差額はもはや自腹しかない。
本来はここまで遅延被害があれば、フレッチャロッサへのアップグレードではないが乗車も可能かと思いきや、それはそれ、これはこれ。
とにかくなにがなんでも午前中にパルマに到着しなければならない。
駅構内ホーム階のフレッチャロッサの係員に事情を話すと、すぐにプラットホーム内のこじんまりした受付へ案内された。
まずはこれまでに起こった事情を説明し、差額を支払ってもいいのでフレッチャロッサにチケットを切り替えてほしいとお願いした。
すぐに理解してくれた係員は、私のチケットにメモ書きを走らせ、サインとハンコを押してくれた。
なに? イタリアってハンコ文化だっけ? というのはさておき、
「このチケットを持って、パルマに行くフレッチャの車掌に見せてください」と言い破れた。
フレッチャロッサ搭乗前に車掌さんにチケットを見せる
とにかく滑り込みでフレッチャロッサのホームへ行き、乗車前に車掌さんにメモ書きサイン付き、ハンコ押しのチケットを見せる。
車掌さんはすぐに空いている席を探し、私を誘導してくれた。
でも差額の支払いは乗車後にという。
結局差額料金は徴収されなかった
ミラノからなんとかパルマへ行く新幹線にのれてホッとした私。
でもまぁ差額支払わないとなと思いながらも、これもイタリア生活の授業料と思えばと自分を慰めてもいた。
車掌さんが乗客のチケットを全てチェックするのは、イタリアの指定席電車ではお馴染みのこと。
なので私の都合つけてくれた席へ車掌さんがきたものの、まさかのスルー。
おそらく徴収なしになったのだろう。
真偽は正直定かではない。
ただ車掌さんという電車の責任者の判断なので、無徴収となったらしい。
そこは問い詰めない。
追いかけない。
料金徴収義務は乗車時のみなイタリア
実は以前にも、無人駅券売機が故障していてチケットを買えないことがあった。
無線乗車と勘違いされないように、まず乗車前に車掌さんを探し、そのことを告げる。
その後たいてい車掌さんはチケットをチェックする時に徴収するというものだ。
しかし時々徴収が遅れたり忘れたりする場合がある。
その場合、支払っていない私たち側は意外と不安にもなる。
そして電車を降りた時、車掌さんに「チケット代徴収されてないよ!」というと、
「もうあなたは電車を降りたから、今回は徴収できないです」という。
でも「無銭乗車になりたくないです」と訴えると、
「つまり今回はあなたの勝ち!」 という。
なんの勝利か全くわからないが、これもイタリアの鉄道事情。
ただしこれは偶然の偶発的なことであるので、イタリアを慣れている旅行者ではあっても勧めないのはもちろんだ。
ちなみにパルマ発の電車も遅れた。
教訓ではないが、もうフレッチャのチケットがなかったので、感じの良い鈍行で帰ったトリノ。
案の定また遅れた。
おかげでシチリア人の友達とホームで長くおしゃべりを楽しんだ。
そして、ミラノ駅でもまた電車は遅れた。
なので、もう夕方だけどいつもの場所でカプチーノを楽しんだ。
おかげでミラノ駅内も散策できた。
結果、1時間遅れでパルマに到着し、20分遅れでトリノに戻った、喜怒哀楽の激しい出張となったのはいうまでもない。