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君は「続き」の物語を目撃したか!? Back To The Future The GAME ~もうタイムトラベルやめろ~

 ここでは2010年に発売されたBack To The Future(以下BTTF)のゲーム版のプレイ動画を視聴した感想を書いていく。

 このゲームは5エピソード構成のアドベンチャーゲームとなっており、映画BTTFⅢのエンディング後と同じ世界線の半年後から物語は始まる。


ビジュアル的な面での感想

 グラフィックは全編フルCGで表現されており。キャラクターは実写の人物を基にデフォルメ調にデザインし直されていた。
 なんだか違和感しか残らなさそうだが、そんな心配はすぐになくなってしまう。デフォルメの落とし込み具合が本当に上手なのだ

 BTTFシリーズは「表情の芸」が大きくウエイトを占める要素だと感じている。ハプニングが連発するシナリオなので、完璧な表情の顔芸のもとでテンポのよい展開が実現している。

 それにSFという世界観の裏で隠れがちだが、ドラマの主軸となるものは家族や友人との絆だ。そのため、大胆であり細やかな空気感を伝えられる「大きな顔パーツの動き」が表現できないと、いくらCGを実際の役者に寄せてもBTTFの本当の魅力にはたどり着けないのである

 本作では、役者の顔を記号化するとともに映画のキャラクターの印象も取り入れられたCGモデルデザインになっており、「役者と似ており、なおかつBTTFの登場人物としての印象も強化された、表情が読み取りやすいキャラデザ」が見事に成立している。


シナリオの感想

 原作と同じ脚本家が担当しているだけあり、綿密に練られた展開と心打たれる台詞は嬉しいことに完全に健在だった。あの完成されたBTTFⅢラストからの新たな展開としても申し分ないものであったと思う。

 加えて撮影の必要が無いため実写では不可能であろう表現の制限が無く、さらにスケールの大きな展開が実現していたのが好印象だ。
 また、前述の通り5エピソード構成となっているため、ボリューミーかつ複雑。原作映画を凌ぐかのような勢いである。

 ゲームのシナリオという特性上、映画で公開するよりもシナリオが目に触れる人数はかなり少なくなり、その分BTTFに思い入れの強いファンがプレイするであろうと考えられたのだろう。
 シリーズ通しての定番の展開やⅠ、Ⅱ、Ⅲであったシーンがセルフパロディのように登場しており、ファンの有り余るBTTFへの感情をぶつける的が至る所に用意されていた
 福利厚生が整った良いシナリオだ。


ネタバレを含む感想

 ここからは、キャラクターやストーリーの一部をネタバレした、細かい感想を書いていく。ゲームといえど映画のような完成度なので、ぜひ一度本編を見てほしい。



 まず衝撃だったのは若いドクが出てくることだった。

 BTTFのタイトルは「バックトゥザフューチャー(未来に戻れ)」なので、当然1986年(Ⅲから半年経過)の現代から見て過去の時代が主な舞台となるのだが、今回の主な舞台は禁酒法時代の1931年ヒルバレーとなっている。

 17歳のドクは、父親に抑圧されながらも秘密で科学研究をしており、空飛ぶ車というオーバーテクノロジーをすでに開発するほど優秀であった(すご)。

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チョロくてかわいい

 しかし、マーティ一行は若きエメット・ブラウンに大きな影響を与えてしまう。図らずも、ストリックランド教頭の姉である「エドナ・ストリックランド」と結婚させてしまうのだ。

 恋をすると舞い上がってしまうドクの描写はⅢでも見られたが、今回は相手が良くなかった。エドナは、ドクの発明を利用して自らの理想を叶えようとするヤバめの考えを持つ人だったのだ。
 当時の若さから、ドクはその危険性に気づけなかったのだろう。

 結果、1986に戻ってきたころには、ヒルバレーは管理型社会となり市民を洗脳する最悪ディストピアに改編されていた。

 もうクララが来てほしい。

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時計仕掛けのオレンジみたいになっちゃった

 時間軸は完全に歪み、元のタイムラインのドクは消失。
なんとかヒルバレー管理者のドクに事情を説明して壊れたデロリアンを修理してもらうのだが、このときのドクは「次元転移装置の構想はあったとしても実際にタイムマシンを見るのは初めてで、しかも2015年のテクノロジーの知識は一切ない」状態である。

 それにも関わらず、なんとデロリアンのシステムを理解してタイムトラベルができるように修理をしたのだ。しかも6か月で。
 エメット・ブラウンの天才さを確認するのは本当に楽しい。

 正しい未来を取り戻すべく2人は1931年へ舞い戻る。
ここでマーティは若ドクと若エドナを破局させるため行動するが、「元の時間軸に戻した場合のエドナは幸せではない」ことを知ったドクは、なんとマーティの前へ立ちはだかることとなる
 彼女のメチャクチャな計画には嫌気はさしていたものの、長年連れ添った彼女を心配したのだ。しんどい~

 しかし、マーティは主人公でありベテランタイムトラベラーなので、あの手この手の外道な手段を使い目的を無事達成する。

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若ドクを拉致して潜水球に閉じ込めているドク(潜水服)に潜水球を引き揚げさせるため、酸素を送る管を踏んでいるマーティ。こわ。

 タイムライン修正により、エドナは変われないと悟りながらドクは消失。その直後、もとの時間軸のドクがデロリアンから登場する。これどんな気持ちで見ればいいの?

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これ、改変後ドクにとってマーティは初対面の若者だから最初は本名の「マーティン」と呼んでいるけど、別れ際ではいつもの愛称で呼んでくれています。みんなどう思う?


 歪んだ世界線の人物とはいえ、タイムトラベルによって主要人物が消滅する展開はやはり衝撃的だ。死ぬこととはまた違うのだろうが、別の喪失感に襲われる感じがする。
 マーティが目指した「元の世界線」とはおおきく逸れてしまったが、このドクことエメット・ブラウンも何十年もの人生を歩んできたのだ。そしてその未来を取り戻すためにマーティとぶつかった。たとえ最良の未来でなくても、その時点の彼にとって人生は一つしかないからだ。

 だから、その世界線の住民であったドクに別の未来を提示して、運命を変えるように訴えたマーティに少し違和感を覚えた。
 「変えてしまった未来は変えたものが責任を取って戻さなければいけない」という考えは分かるが、実際、シリーズ通して未来は本来の世界線から随分変わってしまっている。
 自分たちに良い時代改変が行われている場合はそのままにしているのだ。

 これはタイムトラベルができるものの特権であるとしか言えない。だから、改変された世界のドクに「もっと良い世界にできるから、今までの人生は無かったものとしてほしい」と言うことは、やはり傲慢なことのように思える。

 結局は時代は改変されているのか、されていないかは、その時間軸の住人たちにとって図れないことであり、どうでもよいことである。

 だからこそタイムトラベルが出来ない我々は、替えなどあることはないと開き直ることができる。今の人生と今の世界線を一つしかないものだと思って生きていくと少し楽になったり、ちょっとだけ頑張れたりするのかもしれない。未来は白紙であり、大切なのは今ここにいる自分自身だから

 

 BTTFシリーズは毎回、もとの世界線よりも良い世界線に変化して、未来への展開を膨らませるイベントが起きてエンディングとなるのがお決まりとなっているが、今作はどのようにして締めくくられるのだろうか。

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ドラえもんエンド

もうタイムトラベルやめろ~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!

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