SS『幽霊の作り方:エピローグ』タターヤン

 オニカズラの部屋にはほとんど荷物なんて無かった。私の部屋も似たようなものであったため、お互い様なのだが、一つだけ、決定的な違いがあった。
 私はオニカズラの机の上に置かれた、アズマワディカの入った5つの瓶を前に考えた。なぜオニカズラはあんな凶行に出たのだろうか。オニカズラは心を持たない私には分からないと言った。なるほど、私にはオニカズラの考える事が今まで分かったためしがなかった。しかし、オニカズラの様にすれば、オニカズラの事が何か分かるかもしれないと思い、今までオニカズラに必死で着いて行ったのだ。結局、何も分からないままだったが、今、私と彼を決定的に別っていたものが目の前にある。
 これを使えば彼の事を理解できるだろうか。

 私はアズマワディカの瓶を手に取った。

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