未確認UFO型信号機の確認と知らないまま変わっていく風景
UFO型信号機と呼ばれる信号機があることをご存知だろうか。
正式名称・懸垂式歩車一体型信号機というこの信号機は、2022年11月現在で日本全国を探しても群馬に1ヶ所と宮城に5カ所しかない。
愛知県にも1カ所、形状がやや異なるUFO型信号機が存在する。
普通はそれぞれの信号に対して柱を設置する必要があるが、すべての信号をまとめ、それを一つの柱が支えることで狭いスペースでも効率よく設置することができる。
初めて見るドライバーや歩行者は一瞬見慣れぬ形に戸惑うかもしれないが、進行方向に準じた信号を見ればよいので大きく迷うことはないだろう。
独特なデザイン性と効率よい信号機なのだが、老朽化に伴い、こと宮城県内においては2023年までで全て撤去予定である。
有志の方がマップを作成されているので、気になる方はぜひご覧いただきたい。
さて、私が子どものころ、近所にもこのUFO型信号機があり、「変なかたちだなー」と思った記憶がある。
それも見慣れてしまっていたので、この信号機が珍しいものだということを知ったのは大人になってからだ。それから老朽化により順次撤去していくことを知り、ついに近所のUFO型信号機も撤去された。
まだ残っていて、まだ実際に歩いたことのなかった未確認UFOを撮りに行った。気分はSF。
①黒川郡大和町吉岡上町
T字路に浮遊するUFO。
当然家に向かって点灯してしまってる自動車用の信号は無駄にしているとも言える。建物の築年数的に設置当時からこのような状況だったのではないだろうか。それもまた珍しい現象だ。
②仙台市若林区木ノ下
高架橋の近くに浮遊するUFO。
電車から見ればUFO見下ろすことができるかもと思うが、この線路は貨物線専用線だ。
③仙台市青葉区角五郎
この間散歩したときに見つけ、これらの写真を残すきっかけになった場所。
④仙台市太白区長町
⑤仙台市泉区南光台
この記事を書いた頃には完全に撤去されているはずだ。
撮影した当時も点滅運用がおこなわれていた。
ただそこにあった証としての記録。
UFOの確認と、知らずに変容していく風景
もしUFO型信号機が撤去されていく情報すら知らなかったら。
子どもの頃から見ていたあの場所からUFO型信号機がなくなったことに気づくことができただろうか?
気づけると言い切れる自信はない。
今回はUFO型信号機という明確なシンボルがあったからこそ、それらを記録することに自分なりの動機があった。
しかし、本来見るべきところは、日々変容していく街の風景全体であり、そこに対して常に目を向けていくべきだと思っている。
あれこんなところに駐車場あったっけ?
日々そんな状況に出会うことはどこでもあるだろうが、そこに元々何があったか覚えている人はどれだけいるだろう。
覚えているから偉いというわけでもないし、何か役立つこともないだろうが、気づけばそこにあった店は閉じて、気づけば更地になり、気づけば駐車場になり、それもまた気づけば何か建物が立ち、元の場所に何があったかすら手掛かりを見失うほど変容し、動いていく街の風景の中で、少しでも抗いたいというのが私の態度だ。
脈絡のない街の中で、その前後はなるべくリンクしていたい。
記録に残らない記録を少しでも意識してみよう。
そういう思いをUFOが運んできてくれたとも言える。
…言えないか。
見れば見るほどいい形だなぁ。
【参考HP】