「京都珍肉博覧会 Eat The World Meat」

酒池肉林を超えた、
珍肉×酒×音楽が胃袋と脳を刺激する
前代未聞の博覧会が
ついに開幕!
世界最速レポート1/3


日本全国、はたまた世界各地の珍肉ファンのみなさん!
Buon giorno a tutti~!

まだ冬の寒さ厳しかった、去る2月11日の夜のこと。
京都の街のど真ん中、とあるビルの4階。
小さな隠れ家的イタリアン「イタリア食堂910」にて、「京都珍肉博覧会 #00」が満を持して開催されました。
その会の模様を仕掛人の1人であるモリクニがレポートさせていただきます。

読者の中には「珍肉博覧会?」「イタリア食堂?」「満を持して?」と疑問だらけの方もおられることと思います。
そのあたり経緯につきましては次のパートにて簡単にご説明しますので、このまましばらく読み進めていただけますと幸いです。

■ロード・トゥ・珍博

ということで、まずは「京都珍肉博覧会」、略して「珍博(チンパク)」なるイベントを立ち上げた仕掛人3名をご紹介しましょう。


○ノムラマサオ(まちゃおさん)
FM COCOLOの朝の看板番組『CIAO 765』担当DJ(2019年10月~)。映画を中心にイタリア文化を日本に紹介する京都ドーナッツクラブを主宰、2013年に京都木屋町に事務所兼多目的スペースとして「チルコロ京都」を開設。言葉と曲と肉の絶妙なセレクトにより博覧会を肉付けするマジカルなMeat Jockey(MJ)。ベルボトムと忘れ物がトレードマーク。

○クドウユタカ(910シェフ)
「イタリア食堂910」オーナーシェフ。夜のオーナーとしてチルコロ京都を間借りする形で、2014年12月にイタリア食堂910をオープン。日々のトレーニングで鍛え上げた筋肉、持ち前の食材への飽くなき探求心を武器に、あらゆる珍肉に肉弾戦を挑み、ワンダーあふれるお料理に仕立て上げ、珍肉のミステリーツアーを先導するMeat Captain(MC)。だけど、山羊はちょっと苦手。

○モリクニヒロユキ(筆者)
とある仕事で十数年前にまちゃおさんと出会い、オープン時からイタリア食堂910に通いつめるスーパー常連。時にヘルプでスタッフとしてお店に立つこともあり、博覧会でもお給仕を担当。血湧き肉躍ってくると思わずロゴやオリジナルグッズをつくったりしてしまう、陰日向から会を支えるお調子者のMeat Coordinator(MC)。ストーンズを愛する永遠の27歳。


さて、日本はもとより、世界各地では様々なお肉が食されています。
お肉と言えば、牛・豚・鶏だけではありません。
世界は、未知なるお肉=珍肉にあふれています。

チルコロ京都=イタリア食堂910で縁あって出会うことになった3人の首謀者は、どのように珍肉の世界に導かれ、博覧会の開催へと至ったのか……
ここからは、珍肉に魅せられた3人の男たち=珍肉トリオが前代未聞の博覧会に漕ぎつけるまでの、さほど壮大でもない物語をひも解いてまいりましょう。
(ここからしばらくは、中島みゆきの『地上の星』をBGMとして脳内再生しながらお読みいただくことをおススメします)

2014年12月のイタリア食堂910のオープン以降、まちゃおさんと筆者はほぼ週一でお店に集い、910シェフのお料理とワインに舌鼓を打ちながら、映画や音楽を中心とした趣味の話、はたまた何てことない与太話で盛り上がる日々を過ごしておりました。
今振り返れば、Covid-19なんていう存在も名称もまだこの世になく、世界規模で人類を脅かすパンデミックが起こることになるなんて思いもしなかったあの頃。
平和な日々が変わらずこのまま続くことを疑う余地はありませんでした。

そんななか、2018年春にまちゃおさんが発した一言により転機が訪れます。
『朝日新聞デジタル』での連載コーナー「地球を食べる」に掲載されていた「ラクダ肉のグリル」(2018年4月25日付)と「豪州、隠れたラクダ大国」(2018年5月15日付)の記事を携え、「ラクダ食べてみたいんやけど」というリクエストを持ち込んだのです。
そのリクエストに応える形で910シェフが取り寄せたのが、オーストラリア産のラクダ肉。
そのときに味わった美味しさは、我々トリオの間でも原点となる珍肉体験としていまだに語りあうほどに劇的なものでした。
また、絶品のお肉を味わいながら、中東での競駝(ラクダレース)や、オーストラリアで野生化した経緯など、ラクダが食される産地の文化や歴史的背景にも関心が広がっていきました。
こうしてラクダをきっかけとして未知の味と文化をセットで味わうことができる珍肉の面白さを知った我々は、以降、興味の赴くままにいろいろなお肉に挑戦。
途中コロナ禍によりペースダウンを余儀なくされたものの、およそ4年半にわたりチャレンジを継続してまいりました。

そして、長かったコロナ禍に少し落ち着きの兆しが見え始めた2022年秋。
これまで積み重ねてきた数々の珍肉たちとの出会いをもとに、その美味しさと奥深さを参加者とともに分かちあえるイベントを立ち上げられないか、という構想が浮上します。
そこで、来年秋に本格始動させることを視野に入れつつ、まずはお披露目かつお試し的な位置づけとなるような0次会をプレイベントとして開催してみようという話になりました。
と同時に、1人のMJ(Meat Jockey)と2人のMC(Meat Captain&Meat Coordinator)からなる、2MC&1MJスタイルの「珍肉界のRHYMESTER」と(甚だ僭越ながら)呼んでもよいであろうユニットがここに誕生しました。
(RHYMESTERは、我々がリスペクトしてやまない、2MC&1DJスタイルの日本を代表するヒップホップグループです。ご存知の方はここでBGMをRHYMESTERの『働くおじさん』あたりにチェンジいただけますと、以降をより楽しくお読みいただけるのではないかと思います)

ユニット誕生後は、RHYMESTER師匠譲りのユーモアとウィットに富みまくりのジャズィなカンヴァセイションの中で、どこかで聞いたような「京都珍肉博覧会」というイベント名に、何かしら耳馴染みのある「Eat the World Meat!」という合言葉とトントン拍子で決まり(我々は決してダジャレ好きのおじさんではないことを念のためにお伝えしておきます)、筆者が密かにロゴを作成したりと、駆け出した荒馬のごとく実現に向けて一気に加速していきます。
ここまで来れば、あとは猪突猛進あるのみ。
いよいよ最後に、肝心のメインアクトであるお肉のラインナップを、ワイン片手に珍肉を食しながら、程よく白熱した議論の末にセレクト。
こうして、2MC&1MJが京の都の一角でお贈りする、珍肉のブロックパーティー「京都珍肉博覧会」がめでたく開宴の運びとなりました。
(ブロックパーティー(Block Party)とは、1970年代のニューヨークで生まれた野外パーティーのことで、ディスコに行けない貧しい若者たちが街の一角にスピーカーとレコードプレイヤーを持ち出して始めたことがその発祥と言われています。やがてこのパーティーは、街区(ブロック)のコミュニティを広く受け入れる催しになり、後のヒップホップ誕生に大きく影響することになりました。そうして生まれたヒップホップが今や世界を席巻する音楽になっていることは、みなさんもご存知のことと思います)

全3回の連載。次回は1週間後に公開予定。

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