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【シチリア】パレルモのお彼岸、独特の伝統と食べ物

11月1日は「全聖人の日(Tutti Santi)」の祝日、そして2日はイタリアのお彼岸(Commemorazione dei Defunti)に当たる日となります。2日は祝日扱いではないのですが、お墓参りをしたり、先祖故人を偲び家族や親族が集って昼食をとったりすることもあります。

シチリア島パレルモではこの2日間を「モルティ(morti =死ですが、ここでは故人の日という意味です)」と呼び、両日とも祝日扱い。
11月1日の夜から11月2日にかけて先祖が家に戻ってくると言われ、故人の里帰りを盛大にお祝いするのが習慣です。


お土産を持って帰ってくる先祖達

一番興味深いコンセプトが、里帰りする先祖達は子孫である小さな子供に会うのが目的で、あの世から子供たちにお土産を持ってやってくる というもの。これがパレルモの独特の祝い方です。

だから11月2日の朝、子供たちは「故人からの」プレゼントを探します。
姿が見えないご先祖様なのでお土産は家のどこにあるかわかりません。
ちょっとした「宝さがし」なんですね。
(勿論、両親など大人が前もって購入していて家のどこかに隠しているのですが…)

ご先祖からの贈り物のほとんどがおもちゃで、パレルモのおもちゃ屋さんはクリスマス前のちょっとした書き入れ時です。(最近はプレイステーションとかゲームソフトとかになってきているらしいけどwww)

子供たちが楽しみにしている「死者(故人)の日」には、この両日に欠かせないお菓子もパレルモでお目にかかります。そのいくつかをご紹介!

お砂糖人形プパチェーナ(Pupacena)

市場でもこの時期だけお目にかかる季節物

プパチェーナはプーピ・ディ・ズッケロ(お砂糖人形)とも呼ばれるお菓子。お砂糖とレモン汁を火にかけて溶かし型に入れて固めて食紅で色付けします。
昔はこれが故人から子供たちへの『お土産』だったんだそうですが、時代とともにおもちゃ→プレイステーションやゲームソフト→スマホ
なんかに移り変わっている現代では、老舗カフェなどでしかお目にかからなくなりました。騎士の姿が典型的ですが、我が家の近くではポケモン型も… やっぱり時代とともに変化してますwww

ちょっとホラーな名前のビスケット、オッサ・ディ・モルティ(Ossa dei Morti)

長期保存可能なこのお菓子はいつまでも近くにいてほしいという願いが込められているそうです

日本語に直訳すると「死者の骨」… 故人の日にふさわしいショッキングな名前のお菓子です。
卵白と砂糖、小麦粉そしてシナモン等のスパイスを加えたシンプルなビスケットです。白い部分がしっかり固まるまでゆっくり乾燥させた固いビスケットで、長期保存が可能。

パレルモでは11月2日に故人を偲んで家族・親族で昼食会が開かれるのが習慣ですが、昔はこのお菓子を作って持ち寄り、集った親族に配りあったんだそう。シナモンの香り高いこのハードビスケット、ホラーな名前だけど、長期保存ができるのは1日だけ戻ってきたご先祖様といつまでも一緒にいたいという暖かい思いも込められているといわれています。

見た目も美しいフルッタ・ディ・マルトラーナ(Frutta di Martorana)

インスタ映えもよく、シチリア土産としても人気

シチリアの代表的なお土産としても有名になったお菓子が、このフルーツの形をしたマジパンです。そのルーツは古く、パレルモにあるマルトラーナ教会(世界遺産です)の女修道女達が晩秋期に予定されていた枢機卿の訪問を歓迎するためにこのお菓子を作って枯れた木々を彩ったのがルーツだそう。

味はもとより見た目も鮮やかなこのお菓子は『伝統的なシチリアスイーツ』としてシチリア島だけでなくイタリア本土にも出回っていますが、本場パレルモでは『故人の日』に食卓を飾るのが伝統です(私も11月1日と2日はこれを隣人に配ることを30年続けています !(^^)!)。

パレルモ限定の庶民的パニーノ、ムフォレッテタ(Muffoletta)

リコッタチーズとアンチョビーのコンビが最高の地域限定パニーノ

お菓子ではありませんが、やはり故人の日には欠かせない食べ物です。
ゴマつきの大きな丸いふかふかパンにオリーブオイルをた~っぷりかけてリコッタチーズとアンチョビー、ネギなどを挟んだ巨大サンド

アンチョビーはマスト! 各家庭でいろいろなバージョンがありますが、どれも中身は非常にシンプルなものです。安い食材でボリュームたっぷりなムフォレッタはパレルモの市場などで労働者達が食べている庶民グルメでもありますが、なぜ11月2日に食べられるのでしょう?

その疑問、ムフォレッタを運んでくれたお隣のおばちゃんが教えてくれました! 彼女によると…

昔、車もなかった庶民達は市内から離れた墓地まで歩いてお墓参りに行っていた。お墓までは遠いので途中、小休憩をして空腹を満たすために持っていたのがムフォレッタだったんだそうです。
なるほど~、だからハムなどお肉を入れていないんだ(お墓参り等の時には獣肉を食べないという習慣がある)と納得。ちなみにこのムフォレッタはパレルモだけの習慣だそうで、まさに地域、時期限定の庶民フードですね!

そのおばちゃんから頂いたお手製ムフオレッタがこちら↓

今さっきいただいたばかりの純パレルモ風ムフォレッタ!ボリュームありすぎ!

と、いうことで11月1日と2日という期間限定パレルモならではの食べ物と独自の習慣をご紹介いたしました。この時期にパレルモを訪れる方、市場やお菓子やさんでこれらを見つけたら是非試食してみてくださいね!秋のパレルモ観光がより豊かになること間違えありません (^▽^)/

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