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【イタリア】オーストリアとイタリアの食文化で築きあげられた最古のスイーツ

私が住んでいるシチリアではホームパーティーがよく行われて、招待客達はデザートやワイン、お花なんかを持参していくのがエチケットとされています、そんな時によく見るのが手作りの「クロスタータ(Crostata)」
フルーツジャム入りのパイで表面は恰好模様の生地で焼かれています。

クロスタータはホームパーティー持ち込み用手作りスイーツの定番のひとつ

このタルト、実はオーストリアの伝統的なスイーツである「リンツァートルテ(Linzertorte)」がその起源みたいです。

オーストリアの代表的スイーツといえば「ザッハトルテ」が有名ですが、リンツァートルテはどちらかというと「家庭の味」、オーストリアの古い歴史をもつ伝統的なスイーツなんです。

その名の通り、(所説ありますが)オーストリアの町「リンツ」が発祥の地と言われています。シナモンなどのスパイスを加えたヘーゼルナッツの粉を練った生地の中にベリージャムが入った素朴なタルトで粉砂糖やアーモンドを散らしていることもありますが、特徴的なのは格子模様の表面です。

このリンツァートルテ、実はギネスブックにのっている世界で一番古い(最初の)タルトなんです。だから国境を接する「お隣さん」イタリアでもトレンティーノ・アルトアディジェ地方のラテン語で書かれた紀元1世紀の文献や13世紀にナポリのカルロダアンジュー2世が編纂したマニュアル本の中にも記されているそうです。

昔は甘いものは貴族しか口にできなかったので、やはり当時の宮廷文化や貴族達から広まっていったようですね。現在では超家庭的なお菓子なんですが… 笑

リンツァートルテの公式レシピが確立したのは17世紀、そして19世紀にはその素朴な製法もありヨーロッパに広まっていきました。イタリアではナッツではなく小麦粉を使ったり、バターの分量を増やしたりして改良されましたが、それがその後の本場オーストリアのスイーツにも影響を与えたともいわれています。
それでも今日、イタリアの家庭で作るジャム入りタルト「クロスタータ」を作る時に必ず「格子型」にするのは、17世紀のオーストリアの古いレシピの影響のようです。

オーストリア国境に近いトレンティーノ、アルトアディジェ地方では町のお菓子さんで昔ながらの製法を守り抜いた典型的なリンツァートルテが楽しめますし、北イタリアでは一流シェフやパティシエがリンツァートルテをアレンジした素晴らしいスイーツを生み出しています

ミラノのパティシエ、ジャンルーカ・フストのリンツァートルテ

中世から近世にかけて、オーストリアとイタリアの領土はしばしば交錯していて、オーストリア大公国がイタリアの一部を支配していた時期もありました。こういった歴史的背景が、オーストリアとイタリアの文化的な交流を促進し、お互いに食文化に影響を与えたんですね。

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