34.東京でシチリア食堂をはじめる
今でも日本に一時帰国するたびにやっている、占いとイタリア料理のコラボイベント。
今でこそ当たり前に開催していますけど、最初のころは試行錯誤の連続でもちろん赤字、まさにくたびれ損の大儲け状態でした。
占いとシチリア料理を楽しめる食堂
2、3ヵ月で辞めてしまったアルバイト先のイタリアンレストランには、毎週水曜の夜だけ占い師が来ていました。
たまたまレストランに食事に来ただけの人でも占ってもらえるし、占い目当てで来てついでに食事をすることもできます。
もっとも人の少ない週半ばの夜の集客を狙っての企画でしたが、なかなか面白い試みだと思っていました。
会社を辞めるときやタオルミーナの魚屋で寿司を作るときなどいつも相談に乗ってもらっている友人がいるのですが、彼女も当時、占い師としての活動を軌道に乗せるべくその方法を模索していました。
そこで、彼女は占いをして私はシチリア料理を作って提供する、というお店をやったら面白いのではないかということになり、さっそく物件探しをします。
と言っても多額の初期投資はできないし、派遣を辞めてまでの通年営業はあまりにリスクが高すぎます。
そこで、すでにある店舗の空いている時間帯に間借りしてやってみようと、知人を通じて世田谷区等々力にあった食堂を貸してもらえることになったのです。
初めての営業は2010年9月のとある金曜の夜でした。
告知もろくにせず、まずは試験的に1日だけやってみたのです。
たしか知り合いが2、3組ぐらいしか来なかったように記憶しています。
2回目は10月で同じ場所、同じ時間帯での実施でこの時のメニューの記録が残っていました。
Antipasti
焼いたパンにニンニク風味が美味しい定番ブルスケッタ(トマト&バジル)
焼いたパプリカをオレガノとワインビネガーでマリネしたペペロナータ
Primi piatti
やさしい味わいがほっとするレンズ豆のスープ、パスタ入り
クリーミーなブロッコリーソースにニンニク風味が美味しいパスタ
イワシ、レーズン、松の実に焼いたパン粉が香ばしいシチリアの味イワシのブッカティーニ
Secondi piatti
香草パン粉をつけて焼いた肉は揚げてないので軽く食べやすいコトレッタ・パレルミターナ
香草とニンニクを巻き込んだお肉はワインにぴったりインボルティーニ
初めてなのでかなり力が入っていて、本当に普通のオステリアのようなメニュー構成にしています。
とにかくやってみようとノリで始めてしまったのです。
隠れ家オステリアとして再出発
お客さまが来るか来ないか分からないし、来るとして何人分を用意しておいたらよいのかさえ分かりません。
レンタル料を払って食材費を差し引いたら赤字になるような営業でした。
グラスやカトラリーなど食堂になかったものは自宅から持ち込みましたし、それらを運ぶだけでもひと苦労です。
ちょっとこれでは続けられないなということになり、たしかタロットを引いて決めたと思うのですが、お店の間借りは止めて港区海岸の自宅マンションでやることにしました。
会場費はタダだし重い荷物を運ぶ必要もなくなったものの、自宅でやって果たして人が来てくれるのかという一抹の不安を抱えつつ、11月に仕切り直しの1回目を実施します。
そして、ここでやっと完全予約制にして食材やドリンク調達の調整ができるようになりました。
しかし予約の目的はそのためではなく、女性一人暮らしの自宅住所を公開せずに済ませるための苦肉の策。
住居が特定されると怖いので、「隠れ家オステリア」にして来場者にだけ場所を伝えるというシステムを採用したのですが、いろいろな意味でこれで良かったです。
シチリア食堂からローマ食堂へ
ここから軌道に乗ったシチリア食堂。
シチリア料理にこだわり、ワインもすべてシチリア産です。
シチリアから戻るときはめずらしい食材を持って帰り、それらを使って料理を提供していました。
エトナ山ろくブロンテ産ピスタチオを使ったパスタとか、シチリアの天日干しトマトのオイル漬けとか。
シチリアのトモコさんからレモンの葉っぱを送ってもらってハンバーグを作ったこともありました。
私がシチリアにいる月を除きイタリアへ移住するまで、本当にコンスタントに毎月1回やっていました。
シチリア食堂としての最後の開催は2013年7月なので、約3年間やったことになります。
そして、イタリア移住後の2015年5月、今度はローマ食堂として約2年ぶりに復活。
シチリア食堂同様、港区海岸のマンションで実施しました。
私自身が占いを道しるべにして人生の転換期を乗り切ってきました。
だから、同じように悩んでいる人にも占いを気軽に試せる機会になれば良いなと思い、今でも一時帰国のたびに実施しています。
単純にやっていて私が楽しいから、というのが大きな理由ですけれども。
【占い師の友人のサイト】
今では書籍を出版するほどの中堅どころとして活躍していますが、一時帰国のたびに私のお楽しみに付き合ってくれています。
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