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木が消えた世界


西暦2045年、世界は「木枯らしの時代」と呼ばれていた。 原因不明の現象により、地球上からあらゆる木材が消失したのだ。森林は跡形もなく消え、家屋は骨組みだけを残して崩れ落ち、紙や家具も全て塵と化した。 人々は、突如として訪れた木のない世界に混乱し、絶望した。木材は、住居、家具、紙、燃料など、生活のあらゆる場面で利用されていたからだ。 主人公のユウは、かつて大工だった祖父から、木工の技術と木の大切さを教わっていた。木が消えた今、彼の技術は役に立たないと思われたが、ユウは諦めなかった。 彼は、木に代わる新たな素材を探し求めて、廃墟となった都市を彷徨った。そして、ある日、偶然にも地下シェルターで、過去の資料を発見する。そこには、古代文明が木材を使わずに石や金属で建造物を築いていたことが記されていたのだ。 ユウは、古代文明の技術を参考に、新たな建築方法を模索する。彼は、コンクリートと金属を組み合わせ、木造建築に劣らない強度と美しさを兼ね備えた建物を作り上げた。 ユウの技術は、人々に希望を与えた。木がなくても、人は生きていける。新たな素材、新たな技術で、未来を切り開くことができるのだと。 人々は、ユウの指導のもと、新たな街を築き始めた。石と金属でできた建物は、木造建築とは異なる独特の景観を生み出し、人々は、木枯らしの時代以前とは違う、新たな文化を築き上げていった。 ユウは、木が消えたことで失われたものも多いと感じていた。しかし、同時に、木が消えたことで、人類は新たな可能性を見出すことができたとも考えていた。 木枯らしの時代は、人類にとって試練の時代であったが、同時に、新たな時代への転換期でもあったのだ。

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