歴史上で唯一、民間人に核爆弾を使用した国
by アリ・カルバラエイ
テヘラン・タイムズ
ストレート・トゥルース / インターナショナル
2023年8月8日 - 0:21
アメリカの広島・長崎への核攻撃から78年
テヘラン発 - 日本は米国の原爆投下から78年目を迎えようとしている。
広島に投下され、14万人の市民を死に追いやったアメリカの原爆攻撃を記念する式典が日本で開催されている。この原爆によって広島は灰燼に帰した。
核攻撃は8月6日に行われ、その数日後、米軍は日本の長崎に2発目の核爆弾を投下し、今度は7万人を殺害した。
原爆の生存者は今も病院で治療を受けている。米国は戦時中に民間人に対して核兵器を使用した史上唯一の国となった。
松井一實広島市長は式典で、「世界の指導者たちは、特定の政策立案者たちによっていま発言されている核の脅威が、核抑止論の愚かさを露呈しているという現実を直視しなければならない」(実際の日本語のスピーチは、「核による威嚇を行う為政者がいるという現実を踏まえるならば、世界中の指導者は、核抑止論は破綻しているということを直視し、私たちを厳しい現実から理想へと導くための具体的な取組を早急に始める必要があるのではないでしょうか」)と述べた。
核攻撃を正当化する公的の説明は、未だ米国からはなされていません。
可能な限り残酷な方法で20万人の市民を殺したのは、日本が降伏を拒否したことに対して、第二次世界大戦を終わらせるためだったのか、それとも旧ソ連への警告として原爆が投下されたのか。
米国の政治指導者の多くは、当時、この爆撃に断固反対の姿勢を示し、米国の国際的イメージに長期的な影響を及ぼす非常に無謀な行動だと考えていました。
78年前の日本での黙示録的な光景以来、米国は核兵器保有量と核拡散政策を拡大してきた。それはつい最近、オーストラリア、アメリカ、イギリス間でのAUKUS協定で明らかになった。
批評家たちは、ワシントンがAUKUS計画で核不拡散条約(NPT)に違反していると非難している。2023年3月14日付のガーディアン紙は、AUKUSは「核兵器国から非兵器国への核分裂性物質と核技術の移転」であり、NPT違反であると述べた。
ガーディアン紙はさらに、「核分裂性物質が、原子力船の推進力のような爆弾ではない軍事利用のために利用され、国連の核監視団による査察や監視の対象から除外されることを可能にし......(中略)核兵器の核心である高濃縮ウランやプルトニウムを国際的な監視から隠すことが、他の国々が後に続く可能性のある前例となるため、軍備管理の専門家をナーヴァスにさせている」と付け加えた。
中国の国連代表は、米英が「NPTの目的と趣旨に明らかに違反している」と非難した。さらに、「このような典型的なダブルスタンダードのケースは、国際的な核不拡散システムの権威と有効性を損なう」と付け加えた。
米国はまた、ウクライナ紛争でロシアに対する代理戦争を開始し、もうひとつの核保有国であるロシアを刺激することで核衝突の危険を冒し、世界をハルマゲドンに近づけている。
同じことは北朝鮮についても言える。ワシントンは平壌に軍事的な嫌がらせを行い、東アジアで大惨事が起こる危険を創り出している。
その一方で、米国は西アジアにおける最大の代理国家であるイスラエルを庇護してきた。イスラエルは200~300発の核兵器を保有し、この地域の最大の不安要因となっている。
その地域の多くの国家の領土を侵略・侵犯し、NPTへの調印を拒否しているこの政権は、アメリカの全面的なバックアップを享受している。
この間にもワシントンは、米国情報機関が議会でテヘランの核計画は平和的だと証言したにも関わらず、イランが核爆弾を狙っていると非難しているのだ。
国連の核監視機関である国際原子力機関(IAEA)の査察団による数多くの報告書は、イランの核活動が兵器開発に転用されたという証拠を何一つ示していない。
観測筋によれば、米国や米国と親密な同盟諸国は、西アジア地域及びそれを超える地域にも脅威を与えるために、ムスリムの共和国に対して非難しているという。
広島への原爆投下は、米国の国際的なイメージに依然として非常に暗い影を落としていると専門家筋は指摘する。核軍縮を訴えているのは、決して広島市長だけではないのだ。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長も広島市長の呼びかけを支持している。彼は、「世界の指導者たちはこの街を訪れ、その記念碑を目にし、勇気ある生存者たちと語り合い、核軍縮の大義を担う決意を固めた」と述べ、そして、「核戦争の太鼓が再び鳴り響いているいま、核軍縮をもっと推進すべきである」と続けた。
皮肉なことに、ジョー・バイデン米大統領が2023年のG7サミットに出席するために広島を訪れていたのは、この少し前である。
これまでの大統領たちと同様、日本政府関係者がワシントンに何度も謝罪を求めたにも関わらず、バイデン大統領が核攻撃に対する謝罪を表明することはなかった。バイデンは広島平和記念資料館を訪問したが、これは宣伝行為だと批判された。
広島県産業奨励館(原爆ドーム)は、米国による原爆投下後に唯一、壊されなかった建物である。
1945年の米国による広島への原爆投下後、破壊された建物を通り過ぎる人々の姿や、平地と化した街の瓦礫を映した映像ファイルは、これからも決して遺されていくことだろう。
被爆者の一人である八幡輝子さんは、今年広島で開催されたG7サミットで、その恐怖をこう振り返りました。「その瞬間、突然、空全体が青白く光り輝き、まるで天空がひとつの巨大な蛍光灯になったかのように照らされました。その直後に私は地面に倒れ込み、意識を失いました。」
1940年に撮影された家族写真に写る3歳の自分を指差しながら、彼女は母が言ったことを思い出し、こう言いました。「母は私を廃墟から引っ張り出し、押入れから布団や寝具を引っ張り出し始めたのです。」
八幡さんはまた、声を震わせながら、1945年8月6日の朝を回想して、こう言いました。「私は、原爆の破壊力や、あの日経験したことや恐怖や悲しみを、自分の声と自分の言葉で、英語で伝えたいという夢を、ぼんやりとですが抱くようになりました。」
「私は『なるほど、核兵器ってこういうものなのか』などと辞書で調べながら勉強しました。発音記号を入れるマニュアルを使ったり、録音テープで先生のイントネーションを聞いたり。(英語の)翻訳スクリプトを手に入れてからは、夢が目標になりました。私はこれをどうしてもやりたかったから、必死に努力しました。」
この街を訪れたイギリス人観光客のデニース・ヒクソン氏は、「彼女(八幡さん)が話すと、今でもとてもリアルに感じられる」と話しています。
広島市を訪れていたイギリス人観光客デニース・ヒクソン氏はこう言っています。「彼女(八幡さん)が話すと、今でもとてもリアルに感じられる。彼女はまるで今日起きていることのように話してくれる。」
クロアチアからのツアー・ガイド、ダニエル・バロー氏も、「私の意見だが、誰もが皆、私たちが何者であるかを知るために、特に不幸にも決断を迫られる一歩手前にいる世界の指導者たちは、生存者の方に会いに来て話を聞くべきだと思います」と話してくれました。
八幡さんはG7の首脳を批判し、こう言いました。「私は彼ら首脳陣に、核兵器の非人道性を真剣に捉えてほしいのです。核兵器は人類を滅ぼす兵器です。私は彼らに、核兵器は恐ろしいものであり、必ず廃絶されなければならないと強く感じてもらいたいのです。」
「世界の指導者たちは皆、核兵器廃絶という理想を掲げてG7にやって来ます。私は、G7に参加する首脳たちには、理想を掲げたり、決議を発表したりするだけでなく、具体的な行動を起こしてもらいたい。(核兵器廃絶に向けた)具体的な第一歩を踏み出してほしい。」
八幡さんは日本では「被爆者」として知られています。「リトル・ボーイ」の愛称で呼ばれた最初の原爆がアメリカのB29爆撃機エノラ・ゲイによって投下されたとき、彼女はまだ8歳でした。
原爆は街を消し去り、推定人口35万人のうち約14万人が死亡、さらに数千人が負傷や放射線関連の病気で後に死亡しています。ですが、このことよりさらに恐ろしいのは、米国が原爆が引き起こしたこの惨状を受け容れようとしないことでしょう。
広島市の資料によると、2022年3月末現在、広島に残っているとされる米軍原爆被爆者はわずか39,950人ということです。
(了)
TEHRAN TIMES
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