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どうしようもない人生とその救済について

世の中にはどうしようもない人間というのがいる。例えば私の母親のような。


言葉の通じない人が身内にいると気が狂う。両親は離婚していて父親の連絡先も知らない。わたしは母子手帳の父親欄を見て彼の名前を知った。

母親は恋愛依存で自制心というものは彼女の辞書にはないから何度もわたしたち子供は振り回される。彼女は彼氏ができる度に仕事をやめる。何故か彼女の彼氏はお金持ちが多かったからその援助で暮らす。わたしは彼女の彼氏に県外の大学へ進学するための費用を出してもらった。そして彼女の彼氏は決まって粘着質で酒癖が悪かったから彼女との別れが近づくと家に押しかけてきて暴れ回った。大抵は警察沙汰になってホテルで1週間ほど暮らし、ほとぼりが冷めたら(母が冷めたと思った時に問題は解決したことになる)家に帰っていつ来るかわからない恐怖に怯える。

わたしは実家を出て一人暮らしをして初めて安心できる夜の存在を知った。母が国立大学の医学部しか許さないと言ったから医学部に進学した。もちろん母が大学の費用を出してくれるはずもないから全て奨学金でまかなっている。実家を出なければ狂ってしまうと思ったから地元の大学よりもレベルを上げて無理矢理県外進学を正当化しギリギリで合格した。

しにたいしにたいしにたいしにたい、わざわざ自殺するほどの衝動は起きないから毎日起きて大学へ行く。友達は裕福な子が多いからどうにか着飾ってかわいくする(擬態する)。わたしはいつになったらわたしになれるの、いつになったら自分の未来が明るいと思えるの、誰か助けて、だれもいない。

ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと助けてほしい。だれかいませんか、だれかわたしを肯定してよ、ただえらいと言って、わたしがんばってるのに、ずっとずっと無理してるのに、だれかわたしのこと連れ出して、安心させてください、明日をたのしみだとおもって寝られる夜はどうやったら手に入るんですか、これは高望みなんですか。


明日もまた朝起きたら学校に行って、授業を受けて、人体の構造とか機能とか病気とか遺伝とか細胞とか学んで、ひとつでも単位を落とせば留年で、留年したら奨学金が止まるから退学で、高卒になって、そんな未来見たくないです、だれかわたしに頑張れと言って。うそ、がんばらなくてもだいじょうぶだと言ってください。わたしは誰かがそう言ってくれるのを夢見て、救済を望んで、毎日、明日も

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