4.島根県へ発つ
私は島根県が大好きだ。
大して旅行が好きなわけでもないのに、4度も訪れている。
出雲〜石見銀山で、自分の音楽作品のプロモーションビデオまで撮った。
そのとき、不思議な縁があった。
能の小面を持って海辺を歩いていると、浜にいた男性が「それは京都の能面だね。島根県では京都の能とは違う面を使って、神楽を舞うんだよ。」と話しかけてきた。
私がアーティストであることを知った彼は、「石見神楽の面作家のアトリエに行ってみると良い、気さくな人だから。話を通しておいてあげよう。」と、アトリエを教えてくれた。
アトリエにはユニークな面が沢山並び、刺激的だった。
京都の能の小面に比べ、島根のものは表情筋が豊かに盛り上がっている。
次回の島根旅行は、ぜひ石見神楽を観るために来たいと思った。
その思いを胸に残したまま、すぐに島根訪問の機が来る。
占い師の友人Kから「近いうちに出雲に行くといいよ」と勧められたことがきっかけだった。
そうして、島根としてはかなりマイナーな観光地の温泉街で行われる石見神楽を観に行くことに決めた。
その温泉街には、水神さまや河童、すねこすりなど、多くの妖怪たちの伝説が残っているようで、私は実際にそこで数々の妖怪たちを視ることとなった。
そう言えば、数々の妖怪を書いた大先生、水木しげるさんも、島根県ご出身だったような。
そんなことが頭をかすめる。
島根行きのバスに揺られながら、私は自身の父母の先祖について、夢を見る。
父が退職時になぜか行きたがった「隠岐」のことが思い起こされる。
この先祖については割愛するが、また機会があれば。
次回は、温泉街での河童との出会いや、石見神楽の催しの話を。
次話、5.妖怪の故郷
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